活動レポート Report

ミャンマー:障がい児と家族を支える里親プログラム23年

2023年11月2日

車いすの少女と握手をするAARスタッフ

ミャンマーでは障がい児をケアするための施設が少なく、多くの子どもたちが社会から隔離されて、自宅で過ごさざるを得ないのが実情です。AAR Japan[難民を助ける会]は2001年、里親事業「ミャンマー・子どもの未来(あした)プログラム」を開始し、障がい児たちがリハビリや学習支援を受けられるようサポートしています。このプログラムを通じて成長した子どもたちの様子を、ヤンゴン事務所のミン・ミン・エイが報告します。

「パソコンを学んで起業したい」

「AARの支援を受ける前は、障がいのある子どもを持つことに罪悪感があり、恥ずかしいという感情もありました」。そう話すのは、「ミャンマー子どもの未来プログラム」の支援を受けてきたアウン・カウン・ミャッさん(19歳)のお母さん。ミャンマーでは障がい児が通学できる環境が整っておらず、多くの障がい児が自宅で家族が世話をしています。従って、リハビリや十分な教育を受けられずに育つケースが少なくありません。

アウン君とテーブルに向かい合って話すAARのミン・ミン・エイ

アウンさん(左)と話すAARヤンゴン事務所のミン・ミン・エイ

アウンさんは脳性まひで脚に機能障がいがあり、歩くことができません。AARは車いすや勉強机などを成長に合わせて提供するとともに、授業料や教材を約10年間にわたって支援し、教育環境を整えたほか、理学療法士によるリハビリ指導も行ってきました。身体の動きも以前より良くなり、現在は近所で花を売るお母さんの仕事を手伝いながら、オンラインで高校2年の授業を受けています。「卒業後は障がい者コミュニティのために働くか、AARの職業訓練校でパソコンを学んで起業したい」と夢を語ってくれました。

お母さんはAARのプログラムに参加して知識を得たことで、障がいは恥ずかしいものではないと理解し、今では地域の母親グループで同じような境遇にある母親たちと障がいに関する知識や悩みを共有しているそうです。

大学の入学資格試験に合格!

「日本の皆さんの支援に本当に感謝しています。私はたくさんの優しさを受け取ったので、他の障がい児を支援することで恩返ししたいと思っています」。約10年間の支援を受け2022年に里子を卒業した21歳のサウン・タジンさん(仮名)は話します。脳性まひのため脚が不自由です。学校にはバスで通学していましたが、乗り降りに時間がかかり、ほかの乗客から暴言を吐かれることもあったそうです。

サウン・タジンさんに話を聞くAARヤンゴン事務所職員

サウン・タジンさんに話を聞くAARヤンゴン事務所職員

「ミャンマーでは、障がい児が他の子どもたちと同じレベルの教育や医療を受け、社会的な活動に参加するには、とてもおカネがかかります。私の家族は食べていくことに精一杯で、私の教育に気を配る余裕はありませんでした。AARのプログラムに参加し、家庭教師代や教材費をもらって、安心して大学受験の勉強に集中することができました。その結果、無事に大学の入学資格試験に合格することができました」とサウンさん。「政情不安のため、まだ進学できていませんが、家族を経済的に支える職業に就けるように、自宅で英語とパソコンの勉強を頑張っています」と笑顔で話してくれました。

AARはこれまで263人に上る日本の里親の皆さんのご支援を受けて、約150人の里子の生活と教育を支えてきました。ミャンマーの障がい児と家族に寄り添う支援事業のために、引き続きのご支援を心よりお願い申し上げます。

ミャンマー・子どもの未来(あした)プログラム

毎月3,000円のご寄付で、障がい児の里親として、ひとりの子どもが20歳になるまでを継続してご支援いただいております。

【障がい児を支える活動】
・教育支援(就学、自宅学習など)
・リハビリ支援(歩行、発話など)
・衛生啓発支援(講習会の開催、衛生用品の配付など)
・社会参加の促進(遠足、社会見学など)

【プログラムの特徴】
・年3回、ニュースレターと子どもたちの近況が届き、成長の様子を知ることができます
・AARの会報(年4回)、または年次報告書(年1回)が届きます
ニュースレターや会報誌、年次報告書など
【お申込み方法】
▼クレジットカード・金融機関からの引き落としの場合
マンスリーサポーターお申し込みページからお申込みください。必須事項をご記入の上、「毎月3,000円」のご寄付金額を選択いただき、備考欄に「ミャンマー子どもの未来」とご記入ください。
▼郵便振り込みをご希望の場合
AARへお電話(03-5423-4511)または、HPのお問い合わせフォームからご連絡ください。

ミン・ミン・エイMin Min Ayeミャンマー・ヤンゴン事務所

大学で社会学を学んだ後、 2019年よりヤンゴン事務所勤務。ソーシャルワーカーとしてミャンマー子どもの未来(あした)プログラムやインクルーシブ教育推進事業を担当

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