AAR では、世界16ヵ国で実施している「緊急支援」「地雷対策」「障がい者支援」「感染症対策」についての理解を促進するために、イベントや講演などの啓発活動に積極的に取り組んでいます。
新型コロナウイルスの影響で、従来のような報告会や出前授業が難しくなる中、今夏以降はオンライン形式の講演を行っています。学校法人佐賀龍谷学園(佐賀県佐賀市)の「平和の集い」で8月に行った講義について、佐賀事務所の大室和也が報告します。
「平和について想い、考えること」
佐賀龍谷学園の全校生徒約600人の中高生に向けて、難民をテーマに約1時間講義しました。「平和について想い、考えること」を目的に、難民という言葉の意味、どういう状況にある人が難民と呼ばれるのか、難民の背景にあるものは何か、といったことを投げかけました。そのうえで、多くの難民が紛争や迫害により命を脅かされている状況にあることや、1人ひとりが置かれた境遇に思いをはせたり、視野を広げたりして相手を知ろうとすることが、平和づくりの一環であることを伝えました。
難民も都市で暮らし、学校にも通います
また、当日の講義が円滑に進むよう、事前に先生を通じて生徒の皆さんへアンケートを取っていました。「難民と聞いて思い浮かべる言葉は何か、その言葉を選んだ理由は何か」との項目には、「貧しい」「飢餓」「住むところがない」といった言葉が多く返ってきました。
講義では、そうした一面は確かにある一方で、トルコに避難するシリア難民は多くが市中で生活していること、紛争が止まない南スーダンからの難民が難民キャンプで意欲的に学習し、友だちと楽しく学校生活を送っていることなどを紹介し、「難民」という言葉にとらわれることなく、ひとりの生活者として多面的に捉えることが重要であると伝えました。
講義後には、「難民といってもいろんな人」「国の問題に巻き込まれた人」など、多様に表現された回答を得られました。また、先生から「世界の現実に向き合っていかなければならないと感じた」との力強い言葉をいただきました。視聴いただいた皆さんに、多様な学びがあったのであれば嬉しく思います。
あなたの学校・地域でも
AARでは8月末に富山国際大学付属高校の生徒210人に向けてオンライン講義を実施したほか、徳島県立城南高校、東京の大妻中野高校でも同様の授業を行いました。
オンラインツールの導入によって、全国の学校や地域の皆さんからの講演依頼に、これまで以上に柔軟に応じられるようになりました。AARには多彩なバックグラウンドをもつ講師がおります。「難民」「国際支援・協力」「障がい者支援」など、テーマに応じて最適な講師が承ります。お気軽にご相談ください。
大室 和也佐賀事務所
大学卒業後、理学療法士として働きながら大学院で介護予防を研究。その後病院勤務を経て、青年海外協力隊に参加し、ウズベキスタンの国立リハビリテーションセンターで患者へのリハビリや職員への指導を行う。帰国後、2013年8月にAAR入職。2019年より佐賀事務所勤務。京都府生まれ