活動レポート Report

洪水被災地の農民たちは今:ラオス

2023年12月20日

東南アジアの内陸国ラオスで8月上旬に発生した大雨被害から約4か月。AAR Japan[難民を助ける会]は9月に食料配付を行った同国中部サワンナケート県に続いて、皆さまから寄せられたご寄付を元に北隣のカムアン県でも食料を配付しました。ビエンチャン事務所の山本慶史が報告します。

私たちは12月6日、首都ビエンチャンからメコン川沿いを車で9時間走って、大きな被害を受けたカムアン県ヒンブン郡に入りました。多数の住民が被災ましたが、このうち支援が行き届いていない同郡ホンカム村で、被災者87世帯にコメや即席めんなどを届けしました。

物資を受け取る男性の写真

AARスタッフから食料を受け取る被災地住民=ラオス中部カムアン県ホンカム村

8月の大雨では、ラオス中部の16県70郡800村で洪水や土砂崩れが発生し、約5万人が被災しました。人口の7割以上が農業に従事していますが、特に農地や家畜、道路の被害が大きく、復興復旧はまだ道半ばです。ホンカム村でもキャッサバやコメを作っていた田畑が台無しになり、10~11月の収穫ができなくなりました。倉庫に蓄えた自給用のコメも2~3カ月分しかありません。

今回配付したのは、一世帯あたりコメ15㌔(約1,800円)、即席めん15袋、クッキングオイル1本です。ヒンブン郡役場のノーコン・フンニフォン助役から「郡内でも私たちの村は特に被害が大きく、田んぼはほとんどダメになり、日々食べるコメも足りていません。日本の皆さんに支援していただき、本当にありがとうございます」との言葉がありました。

受益者男性3名の写真

インタビューに答える(左から)シラーさん、ラトゥサミさん、サムチャイさん

食料を受け取った村の人々の声を紹介します。

シラー・センタビィポンさん(45歳)

妻と子ども2人の家族4人で暮らしていますが、自給用の田んぼの9割が洪水で浸かり、収穫できなくなりました。私たちのことを思って支援を届けていただき、ありがとうございます。おかげで当面の家族の暮らしが楽になります。

ラトゥサミ・サンティラサホーンさん(63歳)

田んぼの9割がだめになってしまいました。両親と子ども2人がいますが、コメの備蓄も尽きかけて、とても不安に感じていました。こうして支援してもらって本当にうれしい。日本の皆さんの健康と安全を心からお祈りしています。

ソムチャイ・アンプラーさん(65歳)

洪水で数週間も水が引かない間、時には胸まで水に浸かりながら、遠くの店まで食料を買いに行っていました。今夏の洪水は過去に経験したことがないほどひどいものでした。日本の皆さんの思いやりに感謝しています。ありがとう。

物資配布した村の多くが集まる集合写真

ホンカム村の住民や行政関係者とAAR山本(手前左)

郡によると、洪水で校舎が冠水して教科書が使えなくなり、何人かの子どもたちで一冊をシェアしている学校もあると言います。また、話を聞いた中には経済的に困窮し、子どもを通学させるのも大変な世帯も見受けられました。

配布した物資を持ち帰る住民の写真

険しい山に囲まれたホンカム村で受け取った食料を持ち帰る住民たち

道路の復旧や生活再建にはまだまだ時間がかかりそうです。AARは皆さまのお力添えをいただいて、できる限り継続的な支援を続けたいと考えています。引き続き、ラオス洪水被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。

山本 慶史YAMAMOTO Yoshinobuラオス・ビエンチャン事務所

全国紙、地方紙記者を経て2023年2月にAARに入職、同年3月からラオス・ビエンチャン事務所駐在

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