能登半島地震で大きな被害を受けた石川県では、一部地域で今も断水が続き、復旧のめどさえ立っていません。AAR Japan[難民を助ける会]が企業からご提供いただいて、現地に届けている「水が要らない防災グッズ」がとりわけ好評です。被災地の声をお伝えします。
震災発生から6週間余りを経て、断水が続く同県穴水町の障がい者支援施設「石川県精育園」(社会福祉法人徳充会)。重度を含む知的障がい者105人が暮らしていますが、水道の復旧のめどは立たず、歯磨きや入浴もままなりません。
AARがヤマトエスロン株式会社(大阪府八尾市)から無償提供された「無水ハミガキセット」(歯ブラシ・糸ようじなど)をお届けすると、職員の皆さんから「こういうものが欲しかった!」という声が上がりました。通常の歯磨きができず、職員が脱脂綿で利用者の歯をきれいにしていますが、「指をけがしてしまう恐れがあり、これで安心して歯磨きの介助ができます」。
社会福祉法人すず椿(珠洲市)でも、サービス管理責任者の職員は「水道は当分の間、復旧が望めません。利用者の口腔ケアが行き届かない状況なので、無水歯ブラシはしっかりした製品でたいへん助かります」と話します。
両施設には株式会社フェリシモ(神戸市)の水が要らない「ドライシャンプー」「ウェットタオル」もお渡ししており、いずれも入浴が難しい状況にあって、介護の必須アイテムとして活用していただいています。
段ボールベッド「とても助かっています」
また、避難所での生活を少しでも快適に過ごせるように、段ボールベッドが通常装備として利用されています。断熱効果が高く、体育館や公民館の冷たく硬い床で寝る必要もなくなります。輪島市立大屋公民館の館長、久堂寛久さんは「別途提供されたマットレスと併せて、とても助かっています。避難している皆さんにたいへん好評です」と話します。
飼い犬と一緒にくつろいでいた70代の男性は「こんな状況だけど、段ボールベッドのおかげで安心して眠れて、身体もちょっと楽な気がするよ」。輪島市内ではAARが届けた森井紙器工業株式会社(新潟県燕市)の段ボールベッドも活躍しています。
被災地では倒壊家屋の撤去、仮設住宅の建設がようやく始まりましたが、日常生活を取り戻すにはまだまだ時間がかかります。物資提供を通じてAARの被災者支援にご協力いただいている企業・団体の皆さまに改めて感謝申し上げます。
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