活動レポート Report

被災者に寄り添い続けて:東日本大震災から13年

2024年3月6日

東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災(2011年)から13年。今なお多くの課題が残され、復興の途上にあります。AAR Japan[難民を助ける会]は発生直後の緊急支援から現在まで、その時々に合わせた支援を続けています。

次世代に繋ぐあの日の記憶

2人の子どもがそば粉を混ぜている

親子で蕎麦打ち体験=ふれあいランド高郷で2023年12月9日

「初めて蕎麦打ちした!太いお蕎麦もあるけど、美味しい!」「見て!お気に入りのポンチョができた!」――AARが2023年12月9日~10日に福島県西会津町で開催した体験型イベント「ワクワク子ども塾」には、同県相馬市、浪江町、西会津町から31人の子どもと保護者が参加しました。蕎麦打ちや会津地方に古くから伝わる「起き上がり小法師」の絵付けなどを体験。また、防災学習として大雨のときにゴミ袋でポンチョや防水ズボンを作る方法を学んだり、停電時を想定したペットボトルを使った照明作りにチャレンジしたりしました。

透明なゴミ袋を切ってポンチョの形にしてきている男の子

防災学習でゴミ袋を使いポンチョを作る親子

ワクワク子ども塾は原発事故による放射線の影響で、外遊びの機会が減った主に福島県東部の子どもたちにのびのび過ごしてもらおうと、震災翌年の2012年に始まりました。その後は県内の地域交流や震災の風化を防ぐことを目的として開催し、これまでに計35回、のべ1,052人の親子が参加してきました。

第33回より福島県浪江町の皆さんにもご参加いただき、地域の輪を広めてきました。また、近年は参加者の子どもたちが東日本大震災をよく知らない世代ということもあり、震災を風化させないため、防災学習や震災学習に力を入れてきました。第33回では避難所をテーマとした防災学習、第34回では初めて浪江町で開催し、東日本大震災遺構「浪江町立請戸小学校」を訪問して震災学習を取り入れました。

校舎には津波が来た高さを記した看板がついている

東日本大震災遺構「浪江町立請戸小学校」を訪問=2023年7月22日

この第35回開催を区切りにワクワク子ども塾の活動は終了となります。最後の回では振り返りの時間を設け、参加者が感想を共有しました。

子どもたちからは「全部楽しかった!」、「今回で終わってしまうのが少し悲しい」といった声があがりました。

相馬市の保護者は「中学1年生の娘が小学3年生の時から参加して、色々な経験をさせていただいた。ここに来れば非日常が体験できて、とにかく楽しかったです。この事業が終わることが残念で仕方がなく、代わる事業をぜひ考えて欲しいです」。

西会津の保護者は「親同士も日常で交流する機会がなかなかないので、大変ありがたかったです。西会津に住んでいる自分にとって震災は無縁でしたが、夏に浪江町を訪れたことで自分事になりました」。

また浪江町の保護者は「自分は消防士の立場で東日本大震災に関わってきました。避難先から浪江町に戻り、子どもたちは保育園と小学校の一期生になりました。裏を返せば、将来浪江町のことを一番知っている大人になると思います。その時に子どもたちがAARさんと関わって浪江町のことを伝える人になってくれたら」。といった感想をいただきました。

ワクワク子ども塾は皆さまからのご寄付とともに公益財団法人住友財団からの助成金を活用して実施してきました。皆さまのご支援に心より御礼申し上げます。

避難先で孤立を防止

東日本大震災による被害や福島第一原発事故の影響で多くの被災者が日本各地に避難しました。一時は34万人を超えた広域避難者は減少しましたが、現在も2万9,733人*が故郷を離れて生活しており、高齢化、孤立化が問題となってきています。

AARは広域避難者に対して地域交流の場を提供することで、孤立の防止やコミュニティの維持・再構築を促進する活動を続けてきました。また、広域避難者当事者団体も支援しています。その一つ埼玉県川越市を拠点に活動している特定非営利活動法人埼玉広域避難者支援センター(通称:ぽろろん)は、毎月1回の当事者間の交流会の開催や、フードバンク・製麺会社から支援を受けた食料を避難者に配付する活動を行っています。AARはこういった取り組みを支えるために費用面からサポートしたり、ぽろろんが広域避難者向けに行う講演会や説明会にスタッフとして参加したりしています。

車に段ボールが積んである

避難者へ配付する食料を車に積むぽろろん事務局のスタッフ(ぽろろん事務局提供)

子どもや親の集合写真

家族を交えた避難者の交流会で記念撮影(ぽろろん事務局提供)

震災から13年となる現在も、支援を必要とする方々が多数おられます。AARは被災者の心に寄り添い、引き続き支援に取り組んでまいります。皆さまの温かいご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

*復興庁2023.11.1現在

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