活動レポート Report

相次ぐ余震 山間部の被災者を支援:台湾東部地震

2024年4月25日

4月3日に発生した台湾東部地震(M7.2)から約3週間、花蓮県では23日未明にM6クラスの地震が起きるなど余震が相次ぐ中、AAR Japan[難民を助ける会]は現地協力団体「基督教芥菜種會」(The Mustard Seed Mission:MSM/本部:台北市)を通じて被災者支援を続けています。MSM現地チームからの報告です。

2人の女性が椅子に座って話している

台湾東部地震の被災住民に話を聞くMSM職員=台湾・花蓮県

MSM現場チームは花蓮県北部の秀林郷和平村に入り、地震による家屋の損壊状況と修理の緊急性を調査しました。ここは先住民族タロコの人々が住む地域で、東海岸から急峻な山々がそびえ立ちます。3日の地震の際、あちこちで土砂崩れが発生したうえに、その後の大雨で土石流が発生し、支援物資を運ぶ鉄道も土砂に埋まったり冠水したりするなど、被災地の復旧を妨げています。

3日の地震以降、花蓮県では1,000回以上の余震があり、和平村の住民は「22日深夜から夜通し揺れが続いてろくに眠れず、23日未明の大きな地震でみな飛び起きました。特に小さな子どもたちは不安がっています。家もすっかり傷んでしまい、気が休まる時がありません」と訴えます。MSMチームはAARの資金協力で調達した食料や衛生用品などの支援物資を手渡しています。

広い部屋に人々がシートの上で横たわっている

避難所に身を寄せる人々

今回の地震では、花蓮市内の古い建物がいくつか倒壊しただけに見えますが、実際には山間部などで多くの民家や給水設備が損傷しています。MSMチームはこうしたアクセスしにくい村々を訪ねて被災者から話を聞き、修理が急がれる個所の確認を進めています。

観光業に深刻なダメージ

花蓮県の「太魯閣渓谷」は多くの観光客が訪れる台湾随一の観光地ですが、地震の影響は深刻です。5人の子どもの母親でもある蔡さんは、10年余りにわたって観光ホテルを運営し、仕事がなかった地域で30人以上の村人を雇用して来ましたが、そうした努力も無に帰してしまいました。

職員が被災した女性の肩に手をかけている

被災した女性に励ましの声をかけるMSM職員

蔡さんは「予約が全部キャンセルされて観光客が来なくなってしまい、この先どうすればいいか分かりません」と肩を落とします。花蓮の生命線である観光業・サービス業が突然断ち切られ、多くの雇用が失われたことは、物理的被害に加えて、地域の人々に経済面や精神面で大きなダメージを与えています。私たちは専門家による心理的なサポート、当面の生活費の支給など、生活再建に向けた支援を急いでいます。

こうした活動はAARを通じた日本からの資金提供に支えられています。台湾東部地震に際して、日本の皆さんから多くの支援が寄せられていることに改めて感謝を申し上げます。

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