活動レポート Report

フィリピン家庭料理の炊き出し召し上がれ:能登半島地震

2024年8月22日

AAR Japan[難民を助ける会]は今夏、能登半島地震の発生直後から取り組んできた外国人被災者支援の一環として、被災地在住のフィリピン人の皆さんによる家庭料理の炊き出しを実施しました。被災地で暮らす漁業などの技能実習生や外国籍の住民は、言葉の問題もあって地域とのつながりが薄く、震災時の行政サービスや避難所の情報が届きにくい状況が見受けられます。そこで、近隣の方々に外国人居住者の存在を知ってもらい、平素から助け合える関係を築くきっかけになればと今回の炊き出しを企画しました。

炊き出し調理中のレジナさんたち

友人と協力して調理するレジナさん(中央)=石川県輪島市の輪島中学校避難所で2024年7月21日

復興が続く石川県輪島市の輪島中学校で行った炊き出しは、同市内で日本語教室を運営する木下伸一さんの協力で、フィリピン人のレジナさんと友人たちが参加。AARと協働で炊き出しを続けてきた地元のシェフ、冨成寿明さんたちの衛生面の指導の下、鶏肉と野菜のトマト煮込み「アフリターダ」を調理して、今も避難所で生活する53人の昼食に提供しました。

大鍋で調理中のアフリターダ

フィリピンの家庭料理「アフリターダ」

レジナさんは「最初は一人で作るつもりでしたが、量が多いので友達に手伝ってもらいました。うまく協力できたのでとても楽しかったです」と笑顔で話します。自慢のアフリターダはプロのシェフも絶賛する出来栄えで、避難所の皆さんにも「初めて食べたけど、ご飯にも合うし、おいしいね!」「フィリピンの人が作ってくれたんだって」と好評でした。

この避難所では調理場と生活空間を完全に切り分けているため、レジナさんたちが被災者と直接触れ合うことはできませんでしたが、木下さんは「献立表に『輪島在住のレジナさんたちが作ってくれました』と大きく記載して、彼女たちのことを伝えました。いつもの炊き出しとは違う珍しい料理を食べた皆さんには、すぐ近くにフィリピン人が暮らしていることを料理の記憶とともに思い出してもらえれば」と話します。

日本国内の外国人居住者が増加する中、災害発生時に備えて、外国人と地域住民の共助の促進が課題になっています。AARは地元の皆さんと連携して、奥能登地域の外国人居住者が安心して暮らすための支援ネットワークづくりを計画しています。能登半島地震被災者支援へのご理解・ご協力を引き続きよろしくお願い申し上げます。

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