活動レポート Report

台湾東部地震から半年:被災地・花蓮に今も残る傷跡

2024年10月3日

台湾東部地震(4月3日)の発生から半年が経ちます。AAR Japan[難民を助ける会]は現地協力団体「基督教芥菜種會」(The Mustard Seed Mission:MSM/本部:台北市)と連携し、緊急物資配付や山間部の被災家屋修理、収入が途絶えた観光関連業従事者への生計支援に取り組んできました。AAR東京事務局の桐生栞が被災地の現状を報告します。

9階建てビルの比較。大きく傾き解体作業が行われている写真(左)と解体作業が終わり更地になった様子(右)

震災直後の花蓮市街中心部の倒壊した9階建てビル(左=2024年4月7日撮影)と現在の状況(右=2024年9月19日撮影)

台湾随一の観光名所「太魯閣国立公園」の玄関口である花蓮駅周辺では、国内の旅行客の姿が散見され、多少賑わいを取り戻したようにも見えますが、市内は未だに損壊したままの建物があり、休業中の土産物店や飲食店が少なくありません。市街中心部で倒壊した9階建ての「天王星ビル」は、震災直後から解体作業が進められ、現在は更地になっています。

男性2人が話している

被災した少数民族アミ(阿美)の男性から話を聞くAAR岡山典靖(左)=花蓮県壽豊郷水璉村で

市街地のがれき撤去や復興作業は政府の支援で行われますが、山間部で暮らす少数民族の家屋にはこの間、支援がなかなか届きませんでした。花蓮県壽豊郷水璉村で妻と暮らすアミ(阿美)の男性(82歳)の家はあちこちが損壊し、家屋の傍らでがけ崩れも起きましたが、被害の程度が行政の基準を満たさず、公的助成を受けられませんでした。

そこでMSMが行政に代わって、給水タンクの設置、ひび割れた壁面、崩落した2階ベランダの手すりの修繕などを行いました。男性は「自分ではどうすることもできないほど、家のあちこちが壊れて途方に暮れました。修繕を手伝ってもらって本当に助かりましたが、また同じような地震が起きたらと思うと不安も残ります」と話しました。

修繕されたトイレの比較。崩れた壁も修理され、新しい便器が置かれている。

MSMが修繕した被災家屋のトイレ。修繕前(左)と修繕後(右)

台湾では1999年と今年、2度の大地震を経験し、台北など大都市での地震への備えが緊急課題になっています。MSMのCEO李肇家さんは「今回のような緊急支援に留まらず、次なる災害に備える必要があります。国際的な活動の幅を広げるためにも、日本で災害対応の知見を持つAARと引き続き協力していきたいと考えます」と話します。

MSMはAARを通した日本からの資金提供を受けて、これまでに111世帯へ現金・物資配付を行うとともに、同団体の宿泊施設を避難所として77人を受け入れました。また、被災家屋56戸の修繕を完了し、地震の影響で仕事を失った38人へ就業の機会を提供しました。引き続き、山間部にある孤立集落の被災家屋の修繕を進める予定です。

これまでお寄せいただいた皆さまからのご支援に重ねて御礼申し上げます。

9人の人々が2つのバナーを持っている。

MSMチームの皆さんと。前列左からAAR桐生栞、岡山典靖、MSMのCEO李肇家さん=花蓮市内

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桐生 栞KIRYU Shiori東京事務局

民間企業に勤務した後、2024年にAAR入職。広報コミュニケーション部で制作業務を担当。

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