今年1月の震災に加え、先月の大雨による「二重被災」に見舞われた石川県能登地方で、AAR Japan[難民を助ける会]は特定非営利活動法人「石川バリアフリーツアーセンター」(金沢市)と連携して、被災した障がい福祉施設を支援しています。現地からの報告です。
社会福祉法人「石川県聴覚障害者協会」が能登町で運営する聴覚障がい者のための作業所「やなぎだハウス」では、知的障がい者を含む10~70代の14人がゴムの袋詰め、草鞋づくりなどの作業に取り組んでいます。大雨による洪水で作業台や椅子、ロッカーなどが使えなくなりましたが、利用者から「早く仕事に戻りたい」(19歳男性)という強い希望が寄せられ、近隣から必要な備品をかき集めて1週間後に何とか再開にこぎつけたそうです。
施設長の佐藤香苗さんは災害発生時、珠洲市の自宅周辺が浸水したため身動きできず、能登町の消防団を通じて利用者の安否確認をするしかありませんでした。幸い利用者の皆さんは無事でしたが、「正月の震災後、長い避難生活を経てようやく仮設住宅に落ち着いた被災住民が多かっただけに不安が募りました。特に耳が聞こえない人にとって、災害時に情報が得られない状況は大変だったと思います」。
施設を再開したものの、以前のような作業環境は整えられず、AARは必要な備品の提供、施設の修繕を通じて完全復旧をサポートする予定です。
珠洲市にある特別養護老人ホーム「第三長寿園」は、30人の高齢者が生活する入居施設ですが、大雨の後、共用スペースや事務室で断水が続いています(2024年10月2日現在)。また、隣接する仮設住宅から避難者を受け入れ、食料や飲料水などの備蓄品をすべて放出したため、こうした品々を速やかに揃える必要があり、AAR緊急チームが調達してお届けしました。職員の方からは「孤立状態が続いて不安な日々を送っていました。ご支援のおかげで安心して入居者の皆さんのケアができます」との言葉をいただきました。
地震に続いて水害に見舞われた能登地方では、「二重被災」への支援が新たな課題になっています。輪島市門前町にある小規模作業所「夢かぼちゃ」では、震災後から続く人手不足に加え、今回の大雨で市内にあるスタッフの住居が被災したため、さらにマンパワーが足りなくなる状況に直面しています。「場合によっては作業所の一時閉鎖を検討しなければならない」と職員は不安を募らせます。
また、穴水町の地域活動支援センター「ピアサポート北のと」では、震災後に移動した仮設住宅からの移動が水害によってさらに困難となり、施設への通所再開のため「送迎をサポートしてもらうことはできないだろうか」との要望が聞かれました。
AARは災害発生時、とりわけ困難な状況に置かれる障がい者・高齢者の福祉施設を中心に支援活動に取り組んでいます。能登地方では数カ月の間に大規模な地震と水害による二重被災が発生し、仮設住宅から再び避難しなければならない厳しい状況に陥っています。AARは被災者の皆さんの個々の事情を聞き取り、必要とされる支援を届けています。能登半島地震・大雨被災地支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
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