AAR Japan[難民を助ける会]は11月10日、創立45周年記念シンポジウム「長期化する人道危機への挑戦」を御茶ノ水ソラシティカンファレンス(東京都千代田区)で開催し、多数の方々にご参加いただきました。
第1部では、AARと連携する英国の地雷除去専門NGOヘイロー・トラストによる地雷被害と除去活動のビデオ報告、次いでスーダンで障がい者の教育支援に取り組むモハメド・オマル・アブディンさんがスーダン内戦の現状を報告しました。アブディンさんは、「中央政府が形がい化し、多くの人たちが教育や医療などの行政サービスを受けた経験がない。こうした状況下で民兵組織が台頭して事態を悪化させている」「内戦により、首都ハルツームから多く地方に逃れている避難民を支援し、中央に頼らない開発を推し進めるべき」と、地方による新たな開発モデルの必要性について語りました。
第2部では忍足謙朗AAR常任理事(元国際連合世界食糧計画アジア地域局局長)、緊急人道支援学会理事の柴田裕子さんが、厳しさを増す国際情勢にあって、日本の国際NGOを取り巻く環境と将来の可能性について解説しました。
忍足さんは「日本のNGOは大きな資金を持つ国連組織と提携し、予算を確保して現地で経験を積むべき。危険とされる地域では、日本のNGOの持つ中立性が強みになる」、柴田さんは「日本の国際NGOは、企業などと連携して専門性を身に付け、人道危機に対する対応力を向上させていく必要がある」と語りました。
パネルディスカッションでは、長期化する人道危機の現状を共有するとともに、国際NGOに求められる役割について皆さんと一緒に考えました。会場からは「長期化によって減っていく報道、失われていく関心への対策をどう考えるか」「支援の現地化の事例と対策、日本社会への影響について知りたい」「相次ぐ人道危機に対して、寄付を託されたNGOは支援先をどのように決定しているのか」などの質問やコメントが寄せられ、個々の人道危機への支援を継続していくことの重要性を共有しました。
ご参加いただいた皆さまに心より御礼申し上げます。
創立45周年記念シンポジウム「長期化する人道危機への挑戦」の模様は、下記のYoutubeでご覧いただけます。