国連防災機関の代表を務めた、AAR Japan[難民を助ける会]の水鳥真美常任理事が3月18,19日、能登半島地震の被災地を視察しました。震災から1年2カ月が経った被災地に暮らす人々の声を直接伺ったほか、石川県七尾市長、同県羽咋郡志賀町長を表敬訪問し、また、AARと連携して支援活動を行う団体との意見交換も行いました。

「ゆうの丘」の本田雄志理事長(右)から和倉温泉の現状について話を聞く水鳥理事=石川県七尾市で2025年3月18日
「去年の9月には大雨被害もあったし、悪いことが続いています」と水鳥理事に説明したのは、視覚障がい者でマッサージ師の山藤シゲマサさん。山藤さんは七尾市の和倉温泉街にある老舗の旅館でマッサージ師として働いていましたが、旅館が地震によって大きな被害を受け休業となり、仕事場を失いました。
現在は、温泉街で営業している他の旅館の宿泊客などからの依頼を受けてマッサージ師としての仕事を続けています。AARが仮設住宅団地で交流促進のために開催しているサロン「やわやわ喫茶」でも、AARから業務として依頼を受け、高齢者を中心に仮設住宅で暮らす方々への施術を行っています。

山藤さん(左)にお話を伺う=七尾市で3月18日
水鳥理事は山藤さんから、地震が起きた際の状況やどのように避難したか、その後の避難生活などについての話を伺いました。水鳥理事からは、AARが、支援の届きにくい障がい者などへの支援を重点的に行なっていること、今後もそうした活動を続けていくことをお伝えしました。
18日には茶谷義隆・七尾市長、19日には稲岡健太郎・志賀町長を訪問し、自治体の復興計画や、防災における行政の役割などについての意見交換を行いました。水鳥理事は茶谷市長に「障がい者や外国人、高齢者など、いわゆる災害弱者と呼ばれる人々が安心できるような防災の取り組みを進めていけば、それは誰にとっても安心できる環境になる」と述べ、市長は「表に出てくるのが難しい人々の声も拾っていけるようにしたい」と話しました。

茶谷義隆・七尾市長(右手前)と意見交換を行うAARの役職員。左から、水鳥理事、古川千晶事務局長、生田目充、櫻井佑樹
水鳥理事は、国連防災機関の代表を務めていた際に、3.11から得られた復興や防災の教訓が日本から世界に広がっていくのを目の当たりにした経験について言及し、「今回の能登半島地震においても、その経験を世界に広めていってもらえれば」と茶谷市長にお伝えしました。
このほか、AARの支援を受ける障がい福祉サービス事業所「ゆうの丘」や、外国人被災者支援でAARと連携している七尾市国際交流協会、仮設住宅団地での支援を協働して行う志賀町社会福祉協議会なども訪問。それぞれの立場から寄せられた声に注意深く耳を傾け、要望やご意見を受け止めて今後の支援に生かしていくことをお話ししました。

仮設住宅団地の状況についてAAR櫻井から説明を受ける水鳥理事=志賀町で3月19日
今回の視察には、AARの古川千晶事務局長と、国内災害チームのスタッフも同行しました。そこで水鳥理事から寄せられた助言を生かして、今後も防災の視点を取り入れた支援を続けてまいります。AARの能登半島地震被災者支援に引き続きご協力くださいますよう、お願い申し上げます。
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