活動レポート Report

地域の声の拠点となる「まちのラジオ」を支援:能登半島地震

2025年7月11日

能登半島地震で被災した石川県輪島市町野地区に7月7日、臨時災害放送局「まちのラジオ」が開局しました。AAR Japan[難民を助ける会]は、ラジオ放送の拠点となるコンテナハウスを支援し、「まちのラジオ」が、町野町の皆さんの声を届け、人の輪をつなぐラジオ局となるようサポートしています。

機材が並ぶコンテナ内で2人が作業している

AARが提供したコンテナハウスで放送の準備をする運営スタッフ=2025年7月9日

手作り感あふれるラジオ局

「臨時災害放送局」は、大規模災害の際の被害軽減を目的とし、地域と期間を限定して設置されるラジオ局です。インフラの復旧情報や、行政からのお知らせ、地域で行われる催しなどの情報を発信します。まちのラジオでは、そうした情報に加えて、町民をゲストに迎えたり、メッセージやリクエスト音楽を届けたりと、町民同士の交流の場としての役割も担います。「町野町復興プロジェクト」(山下祐介代表)がクラウドファンディングで開業資金を集め、農家や医師、消防士など10人のボランティアが、パーソナリティも含めた運営を担っています。

放送を開始した7月7日には開局式が行われ、多くの報道陣も集まりました。地元のスーパーで募った七夕の短冊の願いごとの紹介や、小中学生に今日の授業や好きな給食のメニューなどのインタビューを行ったほか、国土交通省能登復興事務所の職員から、道路や川の復旧状況が伝えられました。また、9日にはAAR国内災害チームの藤原早織も電話で生出演し、能登での支援活動についてお話ししました。

女性がパソコンを見ながら電話をしている

ラジオに生出演するAAR藤原早織=2025年7月9日

東日本大震災での支援活動がご縁

今回の支援は、東日本大震災でのご縁がきっかけです。AARは2011年、宮城県女川町で、臨時災害放送局「女川さいがいFM」にコンテナハウスを提供し、開局を支援しました。同局は2016年まで放送を続け、現在は一般社団法人「オナガワエフエム」として、ラジオ番組の制作や、全国の被災地で臨時災害放送局の開局をサポートする活動を行っています。

一方、「町野町復興プロジェクト」は、町民交流イベントの開催や、ボランティアセンターの運営をしていましたが、住民向けの情報発信がLINEなどのインターネットを使った発信に集約され、特に高齢者や、電波の悪い山間部で働く農業従事者がアクセスしづらいことが課題でした。

そこで、町野町復興プロジェクトの山下代表がオナガワエフエムに相談し、災害FMの開局準備が始まりました。しかし、放送の拠点となる場所がなかったため、AARに相談があり、6月16日にコンテナハウスを設置しました。

コンテナの外観。外には机と椅子が並べられている

集落の中にあり、誰でも訪れやすい雰囲気の「まちのラジオ」=2025年7月9日

「まちのラジオ」はFM放送に加え、今後はインターネットによる同時配信(サイマル放送)も行い、遠方に避難している方や町野を応援する人々とも“つながる”放送局を目指します。AARは「まちのラジオ」が地域の声の拠点として育ち、町野の復興を支える存在になることを願い、サポートしていきます。

ご支援のお願い

能登半島地震被災者支援への
ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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藤原 早織FUJIWARA Saori東京事務局

大学卒業後、ITベンチャー企業での勤務後、2020年にAAR入職。ラオス駐在員、ウクライナ事業担当を経て、国内災害支援に従事。

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