AAR Japan[難民を助ける会]は、ウガンダ西部のチャングワリ難民居住地およびその周辺地域で、学校を中心に子どもを保護する環境づくりを進めています。その一環として開催されたサッカー大会について、ウガンダ・ホイマ事務所の秋山広輔が報告します。

優勝トロフィーを掲げるチャングワリ中等教育校女子チームのメンバーたち=2025年8月2日
子どもたちが困難を乗り越えられるように
AARが活動するチャングワリ難民居住地には、隣国コンゴ民主共和国などから逃れてきた約15万人の難民が生活しています。その中には、両親がいない子どもも多く、戦争を経験してトラウマを抱えていたり、虐待や児童労働、早期結婚などさまざまなリスクに直面したりしている子どもも少なくありません。
AARは、子どもの権利を守るために、教員や保護者、コミュニティからなる「子どもの保護委員会」を立ち上げ、委員会メンバーを中心に子どもを守る環境を整える活動を行っています。
その活動の一環として、子どもたちがお互いに助け合いながら困難を乗り越えられるよう、各学校に「ピア・サポートクラブ」を設立し、スポーツや文化活動を通じて友だちづくりや精神面の回復を促したり、啓発活動を通じて自らを守る方法を伝えたりする活動を行ってきました。

懸命にプレーする女子生徒
待ちに待ったサッカー大会!
今回のサッカー大会には、ピア・サポートクラブの子どもたちに加え、子どもの保護委員会のメンバーなど総勢300人以上が参加しました。子どもたちはサッカー大会を心待ちにしており、この日のために昼休みや放課後に練習を重ねてきました。
当日は初等教育校のグループリーグに加え、中等教育校同士の対抗戦や中等教育校チームVS大人チームの親善試合も実施。試合中は子どもと大人が一緒に作戦会議をしたり、大声で応援したり、各校が一丸となって大会に参加しました。

健闘をたたえ合う難民とウガンダ人の生徒たち
難民居住地の周辺では、国連やNGOによる支援が難民居住地のみに集中したり、受け入れ地域で生活していた人々が難民の流入によって追いやられたりするなどの理由から、難民と地域住民との間で衝突が度々発生しています。そのため、AARは難民居住地だけでなく、受け入れ地域に対しても支援を行っています。
今回のサッカー大会では、難民居住地内にあるチャングワリ中等教育校と、受け入れ地域にあるチャングワリ・シード中等教育校との試合も行いました。試合後には抱きしめ合いながら互いの健闘をたたえあい、サッカーを通じて難民の子どもたちとウガンダの子どもたちが交流し、仲を深める機会になりました。
支援の輪の広がり
サッカー大会で使用されたボールは、JICA青年海外協力隊の藤村悦史さんから寄贈されたものです。藤村さんは「ウガンダの子どもたちのために」と、地元の京都府舞鶴市の方々と協力してサッカーボールを100個集め、そのうち30個をAARが支援する子どもたちに寄贈してくれました。

舞鶴市の皆さまから寄贈されたサッカーボール
このご縁もあり、当日はウガンダで活動する海外協力隊の方々も参加し、子どもたちと一緒にサッカーを楽しんだほか、浴衣の着付けや折り紙、箸つかみなどの日本文化を紹介してくれました。子どもたちは普段は触れることのない異文化体験に終始笑顔を見せていました。

初めての浴衣に笑顔を見せる子どもたち

海外協力隊の皆さまも参加。前列右から2人目が藤村悦史さん、中央がAAR秋山
また、京都府舞鶴市の皆さまやAARの支援者の方とオンラインで中継をつなぎ、サッカー大会の様子をお見せしながら、現地の子どもたちと交流しました。
AARの活動は皆さまに支えられて実現できていること改めて感じるとともに、この支援の輪がもっともっと広がれば良いなと思いました。ご支援いただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。
AARは今後も、ウガンダの難民居住地および受け入れ地域の子どもたちへの支援を続けてまいります。子どもたちの笑顔のために、温かいご支援を賜りますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。
※この活動は皆さまからのご寄付に加えて、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

秋山 広輔Kosuke AKIYAMA
土木工学を専攻した後、開発コンサルタント勤務を経てAARに入職。2024年8月よりウガンダ・ホイマ事務所駐在



