活動レポート Report

アフリカの平和と安定を考える:TICAD9テーマ別イベント開催

2025年8月25日

登壇する3人の画面に映るAAR職員

左から長有紀枝AAR会長、マーガレット・アレチ・オレチ氏、忍足謙朗AAR副理事長。画面がAARスーダン事業担当の相波優太=パシフィコ横浜で2025年8月22日

日本政府が主導し、アフリカの開発をテーマとする国際会議「TICAD(Tokyo International Conference on African Development)」の第9回会合が、8月20日から22日の3日間、横浜市で開催されました。AAR Japan[難民を助ける会]は、テーマ別イベント「アフリカの平和と安定~スーダンとウガンダ支援の現場から」を開催するとともに、アフリカ事業を担当する職員がオブザーバーとして会議に参加しました。

テーマ別イベントには、アフリカや日本の援助関係者など約50名にご参加いただきました。冒頭、元国連世界食糧計画(WFP)アジア地域局長の忍足謙朗AAR副理事長は、「アフリカには素晴らしい発展を遂げた国もある一方で、長期的な紛争に新たな対立が加わり、発展が逆行している国もある」と報告。自身の人道支援の現場での経験を交えながら、人道支援は「傷口に当てる絆創膏のようなもので、元の問題を解決できないフラストレーションを伴う」と説明し、平和と国の安定なしには飢餓をなくすことはできないと強く訴えました。

マイクの前で話をするアフリカ系の女性

ウガンダ地雷被害者協会(ULSA)代表のマーガレット・アレチ・オレチ氏

ウガンダの報告では、地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)大使であり、ウガンダ地雷被害者協会(ULSA)代表のマーガレット・アレチ・オレチ氏を招聘。地雷被害を受けたサバイバーであるオレチ氏は、多発する紛争がアフリカの開発の大きな妨げとなっている現状や、各国の地雷・不発弾への取り組み、そしてAARなどの協力を得て行っている、地雷被害者支援の活動について報告しました。さらに「地雷の除去が終わっても地雷被害者支援は終わらない。障がい者、子ども、女性といった、もっとも脆弱な立場に置かれる人々を決して忘れてはならない。インクルーシブな開発を進めていく必要がある」と強調しました。

スーダンの報告では、事業を担当するAARの相波優太がオンラインで登壇し、2023年の政府軍と準軍事組織(RSF)との武力衝突を機に、2千万人近い人々が食料危機に瀕しているスーダンの厳しい現状と、AARが展開している緊急人道支援活動について報告。和平合意が見通せない現状や国家分裂の懸念といった課題について言及しつつ、国家再建への機運の高まりや日本の中立的立場に基づく支援が高い信頼を得ていることを紹介しました。

画面のスライドに写る、スーダン国内避難民支援の様子と相波優太

ウガンダから報告するAARスーダン事業担当の相波優太

後半のパネルディスカッションでは、長有紀枝AAR会長の進行のもと、「アフリカの平和と安定のために日本とNGOにできること」をテーマに議論が展開されました。参加者からも質問が寄せられ、援助と紛争の相互関係や、地雷被害者の中でも特に女性が置かれる厳しい状況などが語られました。また、今年12月に開催される対人地雷禁止条約第22回締約国会議において、日本が議長国として果たすべき役割への期待が表明されるとともに、現場での地道な取り組みを続けていく決意が述べられました。

現在AARはアフリカのスーダン、ケニア、ザンビア、ウガンダの4カ国に事務所を置き、現地の状況に即した活動を実施しています。今後の活動継続のため、皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。

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