台湾東部の花蓮県で今月23日に発生した洪水では、これまでに死者15人、負傷者100人余り、行方不明8人の被害が確認されています。AAR Japan[難民を助ける会]は日本人職員2人を被災地に派遣し、昨年4月の台湾地震の際に連携した現地協力団体「基督教芥菜種會」(The Mustard Seed Mission:MSM/本部:台北市)とともに緊急支援を開始しました。現地から報告します。

MSM職員と被災状況の確認をするAARの岡山典靖(右奥)と生田目充(左)=台湾東部花蓮県市街地で2025年9月26日(撮影:MSM)
今年7月、市街地から10数キロ山間部に入り込んだ渓谷で大規模な地滑りが発生し、渓流の流れがせき止められたことによって湖が作られていました。今回の洪水は台風18号の集中豪雨により湖の水が堰を削りながらあふれ、鉄砲水のように市街地を襲いました。
市街地ではようやく水が引いたものの、河川水が運んできた土砂によって街中いたるところが泥だらけになっています。台湾軍部隊が重機を使って、通り沿いのがれきや汚泥を除去するとともに、被災住民とボランティアが泥まみれになって家屋に流れ込んだ土砂と廃棄物を運び出しています。

かれきや汚泥の撤去に追われる被災者
被災地から数キロ離れた地域では、避難所になった地元のキリスト教会に被災者が身を寄せています。長女と2人暮らしの83歳の女性は「台風が来るのは知っていたが、こんなことになるとは思いませんでした。濁流が一気に家の1階に流れ込み、上階に逃げて救助隊に何とか救出してもらいました。冷蔵庫や家具は全部ダメになりました」と話します。

避難所の教会に身を寄せている高齢女性に話を聞くAAR生田目充
花蓮市内で料理店を経営していた女性は、「行政から警報が出たがあまり気にしていませんでした。店内のテーブルや椅子、調理器具などすべて泥水に浸かってしまいました。家族は幸い無事でしたが、これからどうすればいいのか」と肩を落としていました。

被災した店舗で応急作業にあたっていた経営者の女性
MSMによる聞き取り調査では、清掃用具、寝具、衣服などのニーズが多いものの、家が片付かないことには支援物資を受け取っても置く場所がなく、家内の清掃と消毒が一番の課題です。また、電気と水道はほぼ復旧し、食料や飲み水も充分届いていますが、「入浴できないのがつらい」との声が聞かれます。
AARはMSMとともに、家屋内の泥の除去作業や調理用家電製品の配付のほか、現金給付などの活動を行います。当会は昨年4月の台湾地震に際してMSMとの連携を開始し、その後もMSM職員が能登半島地震の被災地を訪問するなど協力関係を深めてきたことが、今回の迅速な対応につながりました。
AARの台湾台風緊急支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。



