活動レポート Report

障がい者の「困りごと」に寄り添う:能登半島地震から2年

2025年12月25日

2024年1月1日に能登半島を襲った大地震から2年。被災地では現在も仮設住宅での生活や生業の再建に課題を抱えている方も多く、復旧・復興は道半ばの状況にあります。AAR Japan[難民を助ける会]は、多くの個人や企業・団体の皆さまにご協力いただきながら、支援活動に取り組んでいます。現在取り組んでいる個別支援および、これまでの支援の実績をご報告します。

障がい者の「困りごと」に寄り添う個別支援

被災地では、とりわけ障がいのある方々は孤立しやすく、支援の網からこぼれやすい状況に陥ります。「通院が難しい」「地震で散らかった部屋を片づけたい」。発災直後からAARと協力して支援を行ってきた障がい者団体の日本障がいフォーラム(JDF)の「JDF能登半島地震支援センター」(七尾市)には日々、障がい者やその家族からさまざまな相談が寄せられます。AARはJDFや地域のNPOと協力し、病院や福祉施設への送迎、家屋の応急処置、行政窓口での被災者支援制度の申請サポートなど、2025年12月1日までに、のべ93件の相談に対応してきました。

車を降りる男性をサポートするAARスタッフ

ショートステイへの送迎をするAAR能登事務所の栁町幸平(右)=石川県中能登町で2025年12月1日

「困っているのはやっぱり食事かな。ヘルパーさんが来ない日は、近くのコンビニだけしか行けず、食事が偏ってしまう」。そう話すのは、ダウン症の娘(35歳)と暮らす視覚障がいのある男性(77歳)です。AARはこの親子に対し、病院やショートステイへの送迎、買い物や携帯電話の手続きの付き添いなど、日常の小さな困りごとを継続してサポートしています。親子をよく知るマッサージ師の女性は「近所の助け合いだけでは難しい部分をAARが担ってくれて、本当に助かっています」と話します。

行政の支援制度は手続きが複雑で、障がいのある方には活用が難しいこともあります。知的障がいのある男性と自閉症の息子の世帯は、地震で浴室が破損しました。AAR職員は男性とともに市役所に行き、応急修理制度の申請をサポートしました。被災状況の撮影や業者への見積もり依頼も代行し、無事に浴室を修繕することができました。

役所のブースに並んで座る男性2人

被災者支援制度の申請をする男性に同行するAAR職員(左)=石川県羽咋市で2024年6月

AAR能登事務所の栁町幸平は「障がいのある方々と接していると、買い物や家事、洗濯など、多くの場面で手助けが必要だと感じます。そうした日常の困りごとにも目を向けながら、今後も伴走し続けたい」と話します。

AARは被災地で障がいのある方々の暮らしに寄り添い、必要な支援を届けてまいります。加えて、被災地の地域コミュニティの維持や活性化、外国人被災者支援を実施し、誰も取り残さない復興を支援してまいります。

これまでの主な活動

AARは、地震の発生翌日から現地に入り、炊き出しなどの食事の支援、生活必需品の配付、福祉施設や要配慮者、外国人への支援、コミュニティの再生に向けた取り組みを継続してきました。お一人おひとりの声に耳を傾け、それぞれの状況に寄り添いながら続けてきた2年間の主な活動実績をご報告します。

➊炊き出し

地震2日後から避難所や被災地域で炊き出しを開始し、その後も炊き出しを行う地域の方々や関連団体を支えるなど、のべ 188,845人に温かい食事を提供しました。

➋緊急支援物資の配付

緊急時には水や食料、衣類、灯油、衛生用品などを届け、さらに断水や停電が長期化する状況に応じて、必要な物資を継続して提供しました。のべ3,529人(うち外国人被災者347人)に支援を届けることができました。

➌福祉施設・要配慮者(障がい者、高齢者)への支援

高齢者や障がいのある方々が仕事や生活を続けられるよう、福祉施設の運営再開や在宅で暮らす要配慮者への個別支援、住環境の修繕を実施しました。17の福祉施設への支援、のべ93人の在宅障がい者への個別支援、16世帯の要配慮者の家屋の整備などを行いました。

➍コミュニティ支援

お風呂カーによる入浴支援(357人)や、リハビリや傾聴活動(407人)、お茶会などのサロン活動、生活再建相談会(1,186人)などを通じて、被災した地域の人々を支えました。

➎外国人被災者への支援

言語や情報の壁により支援が届きにくい外国人被災者に対し、支援物資の配付、情報提供や交流イベントなどを通じてサポートしています。交流イベントにはのべ176人が参加しました。

➏仮設・生活再建に向けた支

仮設住宅への入居者への家電の提供(580世帯)や孤立を防ぐ交流イベントの開催(798人が参加)などを通じて、新たな生活をサポートしています。

 

 

2年間にわたる支援は、皆さまからのご支援と、現地で活動する多くの関係団体・住民の方々との協力によって実現しました。AARは今後も、能登の復興に長く寄り添い続けてまいります。引き続きのご支援を心よりお願い申し上げます。

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