AAR Japan[難民を助ける会]は、能登半島地震の被災地、石川県七尾市と、同市内の福祉事業所と協力して、障がいのある方も利用できるトイレやシャワーを完備した「福祉避難所」の設置を支援しました。1月29日、現地で内覧会が行われました。

内覧会で、福祉避難所として整備された作業所内部を案内する木谷昌平さん(左)=七尾市の就労継続支援(A型)事業所「LABO」で、2026年1月29日
設備が完成したのは、障がい者の就労支援を行っている一般社団法人ななお・なかのと就労支援センター(七尾市、瀧川嘉明・代表理事)が運営する就労継続支援(A型)事業所「LABO」(同市白馬町)です。
「長期間の避難生活に耐えられるよう、シャワールームもあります」。センター長の木谷昌平さんは、明るい表情で施設を案内して回りました。

AARの支援によって整備されたバリアフリートイレ(左)と、入口に段差がなく車いすでも入りやすいシャワールーム=石川県七尾市の「LABO」で
周囲を気遣い、自宅避難を続ける方も
2024年1月に発生した能登半島地震では、発生直後に多くの住民が体育館や公民館などの避難所に避難しました。その一方で、発達障がい者や知的障がい者の中には、避難所における環境の変化等により状態が不安定になる人もおり、家族らが周囲に遠慮して倒壊の恐れのある自宅に留まったり、車中泊を続けたりするケースが多数見られました。その結果、厳しい寒さもあって障がい者本人や家族の健康状態が悪化する事例が発生しました。
こうした事例は災害関連死につながる危険があります。このためAARは、障がいのある方が安心して気兼ねなく利用できる福祉避難所の整備を支援しています。このたび、福祉避難所の体制強化を進める七尾市と、ななお・なかのと就労支援センターとの間で協定が結ばれ、「LABO」を災害時に「福祉避難所」として利用することが決まりました。「LABO」は普段から障がい者の方々が仕事や生活相談をする場であり、災害発生時にも障がいのある方々への配慮が期待できます。
自炊可能なキッチンも整備
AARは、地震で傾いてしまった「LABO」の作業場の床を修理する際、災害時に寝泊りが可能となるようフローリングの床に張り替えています。さらに避難が長期化した場合に必要となるシャワー室、バリアフリートイレ、自炊可能なキッチンを整備しました。シャワー室、トイレなどの整備費用の総額は647万円に上り、全額がAARにお寄せいただいた寄付金で賄われました。

修理前の作業所の床(左)と、フローリングに張り替えられ、キッチンもついた作業所内部=石川県七尾市の「LABO」で
この事例は、「行政との協定」と「民間(NPO)の支援」を組み合わせることで理想的な避難環境を早期に実現した先進的な取り組みと言え、災害関連死を防ぐための具体的な解決策として広がりが期待されています。
木谷センター長は「AARの支援で、障がいのある方が避難できないという現状を変えるための具体的な一歩を踏み出すことができました」と話していました。
AARはこれまで積み上げてきた被災地支援・障がい者支援の知見を生かし、能登半島地震の被災者の皆さまと連携して復興を支援してまいります。どうか、ご理解、ご協力をお願いいたします。



