長年紛争が続いているミャンマーでは、総人口の13%にあたる590万人が障がい者だと推計されています。2025年3月下旬に中部・マンダレーで発生した震災から1年が経った今も十分な支援を受けられない障がい児が多数いるなか、保護者や施設関係者らは必死に子どもたちを支えています。子どもたちのためにAARが現地で行った支援について報告します。

現地団体「NICE Foundation」が運営する障がい児のための教育施設で、笑顔で活動する子どもたち=マンダレー市内で2026年3月
発達障がいの6 歳の息子を持つドーサンさん(仮名)は「1年ほど前からこの施設に通うようになって、息子の様子が大きく改善しました」と先生たちに感謝しています。「以前は言葉が不明瞭で会話もできませんでしたが、今では短い質問への受け答えや簡単な会話ができるようになり、遊んだ後の片付けまでできるようになりました」。
この障がい児教育支援施設は、マンダレーを拠点に活動する現地団体「NICE Foundation」によって運営されています。同団体は、障がい児のインクルーシブ教育への移行をサポートするだけでなく、障がい当事者やその家族らとのネットワークを持っており、AARは地震発生後から、被災した障がい者への支援を連携して実施してきました。
同施設には現在、発達障がいや自閉症、身体麻痺など13人の障がい児がおり、先生が6人います。それぞれの障がいの程度や種類によって、学習支援の方法や学習教材は異なり、一人の先生がかかりきりで面倒をみなければならない子どもいます。AARスタッフが訪問した際も、泣き出す子や突然走り出す子、座ることが難しい子などさまざまな子どもたちがいました。先生たちは子どもたちをなだめたり、目を見つめて諭したりと、どこまでも辛抱強く、優しく対応していました。
保護者と教師 悩みを分かち合い

AARの現地スタッフからリュックを受け取り、笑顔を見せる子どもたち=いずれもマンダレー市内で2026年3月
AARはこの施設に、数字や言葉を学べる障がい児用学習教材や点字用教材、けがを防止するために教室の床に敷くマットを届けました。また、大地震により失職したり、仕事が減ってしまったりして困窮する家庭が多いことから、子どもたち一人ひとりに、必要な文房具(消しゴム、鉛筆、鉛筆削りなど)や水筒を入れたリュックを配りました。AARの現地スタッフが手渡すと、うれしそうにリュックを抱きしめる子もいました。
冒頭に紹介したドーサンさんは、息子が近所の庭を荒らしたり、商店から勝手におもちゃを持ってきたりして、頭を下げて回らなければいけないこともあると語ります。「なぜうちの息子は他の子と違うのかと悩むことも多いですが、先生に話を聞いてもらえるので気が紛れます。息子を深く愛しているので、成長して将来は正規の学校へ通えるようになってほしい」。実際にこの施設を卒業した後、インクルーシブ教育を実践する一般の学校に進学する子どももいます。教員の一人は「子どもたちの変化や、地域社会の障がいに対する理解の広がりを実感しています。この施設の一員であることをとても誇りに感じています」と話します。

左)AARが贈ったマナーを身につけるための教材。右)数え方を学ぶ教材=マンダレー市内で2026年3月
この施設の代表で、障がい児の息子がいるドゥティーダさん(仮名)は、日本からの支援について「少しの支援でも、ここにいる障がいがある子どもたちの未来にとっては大きな意味があります。ご支援に心から感謝します。いただいた物資や支援を子どもたちのために、地域のために大切に活用することをお約束します」と力を込めて話してくれました。
AARは今後も、ミャンマーの地震被災地での支援を続けていきます。引き続き皆さまの温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。



