AAR Japan[難民を助ける会]は現在、政情不安が続くアフガニスタンで国内避難民支援を実施しています。同国では2021年8月の政変以降、新たに60万人超の避難民が発生し、厳冬期を迎えて厳しいテント生活を余儀なくされています。
とりわけ苦境に立たされているのが、支援が行き届かない障がいのある人々です。長く戦乱が続いてきたアフガニスタンでは、保健・医療サービスの不備に加え、戦闘や地雷被害による障がい者が数多くいます。同国東部ラグマン県で12月初旬に食料、毛布などの支援物資を緊急配付した際に出会った障がい者の方々の声を紹介します。
シャキールさん(47歳/男性)
「私たちの村は農業用水が豊富で、私は農地を借りてコメ、小麦、トウモロコシ、ジャガイモなどを栽培し、妻と2人の娘を養っていました。つましいながらも穏やかな暮らしでした。この国はずっと戦乱が続いており、私は娘たちの将来を思いながら、日々必死に働いていましたが、ある時期から左脚がまひし始め、今では半身不随になってしまいました。土地を他人に取られて収入を失い、妻が細々した仕事を探そうとしてもうまくいかず、最近は周囲の人からの施しで何とか生活するありさまでした。
数カ月前に政府軍とタリバンの戦闘が起きて、私たち一家は近所の人に助けられて何とか安全な場所に逃れましたが、何も持って来ることができませんでした。政府機関に援助を求めたものの、避難民が多過ぎてテントも食料ももらえませんでした。誰も私たちを助けてくれない中、AARのスタッフが来て話を聞いてくれて、こうして食料や毛布を届けてくれました。こんな援助をもらったのは生まれて初めてのことです。日本からの温かい支援に心から感謝します。私たちだけでなく、周囲の誰もが感謝しています。」
ハフィズラさん(65歳/男性)
「運転手として長年働いて、8人家族の暮らしを立ててきました。仕事は順調で、毎月の給料で子どもたちを学校に通わせることもできて、私はとても幸せでした。ところが、原因不明の病で手足がまひしてしまい、運転手の仕事を失いました。私は高齢ながら結婚が遅かったので、まだまだ面倒を見なければならない小さい子どもたちがいます。私たちの文化では働かずにおカネをもらうのは許されないので、家族のために仕事を探そうとしましたが、この身体では困難でした。
誰かに支援してもらうことなど考えていませんでしたが、今は状況が違います。激しい戦闘に巻き込まれ、私たちは何も持たずに村からラグマン県の中心部に避難しました。しかし、政府は何もしてくれず、いよいよ途方に暮れて希望を失っていた時、AARが来てくれたのです。AARのおかげで、私たちは食料と毛布などを受け取ることができました。この困難な状況にあって、日本からの支援は大きな助けです。私たちは皆、AARの支援に感謝するとともに、アフガニスタンが一日も早く平和で安定した国になることを祈っています。」
アフガニスタンでは8月中旬、米軍を主体とする駐留外国軍の撤退に伴い、ガニ前政権が崩壊し、かつて同国を支配したイスラム主義勢力タリバンが再び実権を掌握しました。しかし、国際テロ組織IS(イスラム国)による爆弾テロが相次ぐなど政情不安が続き、経済は崩壊状態にあります。国際社会が新政権の承認に踏み切れない中、国連機関やNGOによる人道支援活動が停滞し、食料供給や医療サービスが不足しています。
AARは20年余り、アフガニスタンで地雷除去事業、地雷・不発弾の被害を避ける回避教育、地雷被害者を含む障がい者支援に取り組んできた実績があります。今後も治安情勢に十分配慮し、現地スタッフや避難民の安全を確保しながら支援活動を続けてまいります。
AARのアフガニスタン国内避難民支援へのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
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