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活動レポート Report

被災地の人々に寄り添い続ける:東日本大震災から11年

2022年3月1日

東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災(2011年)から11年。被災地では復興公営住宅や防波堤などのインフラが整備された一方、かつての活気を取り戻せないままの地域もあります。AAR Japan[難民を助ける会]は発生直後の緊急支援に始まり、11年を経た現在も高齢者や子ども、障がい福祉施設を中心に中長期的な支援活動を続けています。

3人の子どもが1つの樽に手を入れ、楽しそうにそば粉をこねている

「西会津ワクワク子ども塾」で会津産の粉を使ってそばを打つ子どもたち=2021年12月4日

「そばを細く切るのが難しかったけど、自分で打ったからおいしい!」「貝の化石をたくさん見つけられたよ」。AARが2021年12月4~5日に福島県西会津町で開催した体験型イベント「西会津ワクワク子ども塾」に38人の子どもと保護者が参加し、そば打ちや化石発掘体験、防災ワークショップ、シャボン玉遊びなどを楽しみました。

女の子が大きなシャボン玉を作り、近くの子どもたちが笑いながら見ている

初対面の子ども同士もすぐに仲良くなり、思いきり外遊びを楽しみました=2021年12月5日

子ども塾は原発事故による放射線の影響で、外遊びの機会が減った福島県の子どもたちに放射線量の低い地域でのびのび過ごしてもらおうと、震災翌年の2012年に始まりました。現在は地域交流や震災の風化を防ぐことを目的として継続し、これまでに計31回開催、のべ920人の親子が参加しています。

男の子がハンマーを手に持ち、真剣な表情で化石を叩いている

化石発掘に挑戦。かつて海だった会津地域では貝の化石も見つかります=2021年12月5日

参加した保護者からは「新型コロナウイルス感染でなかなか遠出できない状況です。久しぶりに家族と出かけられました」「子どもだけのイベントはあっても、親子で参加できるものはあまりないので、良い思い出になりました」との声が寄せられました。

避難先から地域に戻った高齢者の方々を対象とした「地域みんなで元気になろう」プロジェクトもAARの大切な取り組みです。被災者の孤立やストレス、体調不良を防ぐために、マッサージや健康体操、手工芸教室などを岩手・宮城・福島3県で2011年から継続しています。これまでに1,133回開催し、のべ1万9,532人が参加しました。

牛乳パックを用いて作った座いすにガムテープを貼っている

福島県川俣町で開催した「地域みんなで元気になろう」プロジェクトの座いす作りのワークショップ。右から2人目はAARの大原真一郎= 2022年1月28日

この2年余りはコロナ禍の影響で外出を控える高齢者が増えています。住民同士で集まる機会が減ったことで、家にこもって孤立したり、身体機能が低下して動けなくなったりする高齢者が少なくありません。AARは参加者同士の距離を保って健康体操を行ったり、食事会を開く代わりに手作り弁当をお届けしたり、感染対策を徹底しながら交流活動を続けています。福島県川俣町でコースター作りのイベントに参加した女性(80代)は「暗いニュースばかりで家にいても気が滅入るけれど、こうして月に一度でも集まりがあると気が晴れる。毎回楽しみだよ」と話してくれました。

参加者10名ほどがいすの背に手を置きながら足のストレッチをしている

自宅でできるストレッチなどを指導する健康体操教室=福島県川俣町で2021年12月25日

被災地ではインフラ整備が進む一方、被災者からは「独り暮らしなので小さな地震でも心配になる」「10年前の震災をつい最近のことのように思い出す」などと不安を訴える声が聞かれます。特に原発事故の避難指示が解除された地域は高齢化・過疎化が深刻で、福島県外の避難者の中にも避難先での生活が安定しないまま孤立するなど、悩みを抱えている方がいます。

AAR東北事務所の大原真一郎は「昨年の震災10年はひと区切りではありません。コロナ禍が続く中、帰還した方々の孤立を防ぐとともに、高齢者の日常生活のサポートなどきめ細かい支援が求められています。これからも長期的視点を持って地域の方々に寄り添っていきたいと思います」と話します。

AARのボランティアが、腰に手を当てた女性に身体の調子を聞いている

理学療法士や作業療法士が話を伺いながらマッサージ=福島県川俣町で2021年12月5日

震災から11年を経た今も、被災地には支援を必要とする方々が多数おられます。AARはこれまでの活動を通じて培われた信頼関係とつながりを生かして、引き続き支援に取り組んでまいります。皆さまの温かいご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

*AARは手指の消毒やマスク着用の徹底、PCR検査などコロナ対策を講じたうえでイベントを実施しています。感染状況によっては開催中止・延期の措置をとっています。

杉崎 智子SUGISAKI Satoko東京事務局

大学卒業後、民間企業を経て2017年AARに入職。広報コミュニケーション部で会報誌やパンフレットなどの制作を担当

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