「温かい食事をありがとう」――。AAR Japan[難民を助ける会]は3月21日、ウクライナから南隣モルドバに逃れた難民の人々に対する食料支援を開始しました。同国の首都キシナウからAAR東京事務局の本間啓大が報告します。
キシナウ市内にある大学の学生寮は、モルドバ政府の要請を受けて20部屋をウクライナ難民に提供し、毎日10~20人が滞在しています。政府から財政面の助成はなく、寮のスタッフが無償で対応していますが、最も困っているのが食事で、難民の人たちは近所のスーパーマーケットで食材を買って共同キッチンで自炊するしかありません。そのため食事時には狭いキッチンが大混雑します。
AARは国連WFP(国連世界食糧計画)と調整して、この寮に滞在するウクライナ難民への食料支援を決定し、初日の21日に温かい食事とともに1週間分の食材を提供しました。食材は野菜・果物、肉や魚、乳製品、小麦粉やパスタなどの主食、食用油・調味料を届けました。温かい食事は市内の人気レストランに用意してもらい、毎日の昼食として提供されます。メニューは難民の皆さんの要望に応じて決められました。
21日のメニューは次の通りです。
・大人用:豚肉のソテー、じゃがいも炒め、鶏肉のスープ、キャベツのサラダ
・子ども用:チキンミートボール、じゃがいものピューレ、菓子パン、チーズクレープ
ウクライナ南部オデッサから母親と子どもを連れて逃れて来たスベトラーナさんは、2週間前からこの寮に滞在しています。スベトラーナさんは「心身ともに疲れているので、温かい食事は本当にありがたいです。おいしくいただきます」と3人で食事を囲み、息子のサーシャ君は笑顔を見せてくれました。
寮長を務めるディアナさんは「日本からの支援に感謝します。難民の人たちを受け入れている私たちとしても、たいへん助かります」と話します。「食事が提供されると分かれば、ここに来る人が増えるかもしれません」
AARはモルドバにある避難場所の受け入れ状況、難民の人々のニーズを見ながら、食料支援を続ける予定です。AARのウクライナ難民支援へのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
本間 啓大HONMA Akihiro東京事務局
大学院修了後、子ども支援の国際NGO勤務を経て2020年5月にAAR入職。東京事務局で広報を担当。新潟県出身