ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって4カ月、周辺国に逃れた難民は700万人超、国内避難民も約800万人に上ります。AAR Japan[難民を助ける会]が活動する隣国モルドバでは、難民の親子が自らを励ましながら避難生活を続けています。
美しい自宅の庭を思い出す
ウクライナ南部の港湾都市オデーサ(オデッサ)出身のエレナさん(44歳)は、夫と娘2人、息子2人の6人家族。AARが支援しているモルドバの首都キシナウの大学学生寮に、17歳と1歳半の息子2人とともに身を寄せています。20歳の次女は以前からトルコで暮らしており、23歳の長女は軍事侵攻を機に国連機関の支援でオーストリアに移住しました。夫はオデーサに残り、ペットのイヌ3匹、ネコ4匹の世話をしつつ、食品関係の仕事を続けています。
「家族がこれほど離れ離れになってしまうなんて……苦渋の決断でした」と話すエレナさんは、「当初は6月頃には帰国するつもりでしたが、夫は危険だからと許してくれません。夫の安全も心配です」。家族の身を案じつつ、趣味のガーデニングで創り上げた自慢の庭を思い出さない日はないと言います。
夫からの送金や国連の現金支給もありますが、「アパートを借りるほどの余裕はありません。ここではAARが温かい食事や食材を届けてくれるし、寮のスタッフも親切です。こうした支援がなかったら、どうなっていたか想像もつきません」。
子どもが安心して過ごすことが大切
AARが寮の一室に開設したキッズルームも「とても助かっています。雨の日は外に遊びに行けなくて、子どもの機嫌が悪くなってしまいます。まだ幼い子どもたちの精神的な安定に役立っていると思います」とエレナさん。自分自身を励ますように「子どもたちが安心して過ごせることが一番の幸せ。ウクライナでの平和な暮らしが一日も早く戻ってくることを祈るだけです」と語ります。
エレナさんたちが安心して祖国に帰れる時まで、AARは難民の人々に寄り添った支援を続けてまいります。皆さまのご協力をよろしくお願い申し上げます。