AAR Japan[難民を助ける会]ヤンゴン事務所が2000年から運営する「障がい者のための職業訓練校」は、新型コロナウイルスの感染拡大によって2020年3月から休校を余儀なくされていましたが、このほど約2年半ぶりに再開しました。同校は障がい者の就労・自立支援の拠点として、現地で高い評価を受けています。再開を喜ぶ訓練生、再開のために奮闘した現地マネージャーの声をお伝えします。
裁縫技術を学んで家で起業したい
洋裁コース訓練生:ルウェイ・エイ・アムさん(18歳)
私は6歳の時、家族と一緒に茶畑で収穫作業をしていた際に地雷を踏んで右脚を失いました。基礎学校10学年(高校1年相当)で勉強していましたが、コロナの影響で休校になり、通学できなくなりました。そんな時に訓練校の卒業生から話を聞き、将来は自分で生計を立てるための技術を身につけようと応募しました。もともと裁縫が趣味で、自分や他の人にきれいな服を作ることが大好きです。今は好きなことを学べてとても嬉しいですし、ここで習得した洋裁技術を生かして、将来は自宅で注文を受けて服を作る仕事をしたいと思っています。無料で職業訓練を受けさせてもらえるのも、とてもありがたいですね。
コンピュータ技術を磨いています
PCコース訓練生:ルウィン・モー・アウンさん(26歳)
私は先天的に両手の指がありません。大学を卒業して仕事を探しましたが、どこも採用してくれませんでした。私はコンピュータに関心があり、以前に成人障がい者学校のコンピュータクラスに参加していましたが、技術をより磨きたいと思って本校に来ました。ここの授業は教材も教授法も素晴らしいだけでなく、社会性の向上など生活に役立つスキルも教えてくれてくれます。全国から訓練生が集まり、出身地域や宗教も多様ですが、皆が分け隔てなく寮生活を楽しんでいます。機会があればアドバンスコースまで受講し、卒業後は企業に就職して資金を貯めて、地元で自分の写真印刷店を開きたいと考えています。
障がい者の社会参加をサポート
AARヤンゴン事務所マネージャー:ニン・ワーワー・ウィン
職業訓練校を無事に再開できるだろうかと、楽しみでもあり不安でもありましたが、大きな問題もなく9月に再開し、その後の運営も順調で、嬉しい気持ちでいっぱいです。ここでは無料で職業訓練を提供しているので、経済的に貧しく機会に恵まれない障がい者がスキルを身につけることができる唯一の場所です。コロナの感染拡大、社会の混乱によって経済状況が悪化し、障がい者が仕事を得るのはさらに難しくなりました。以前は働いていた人も、失業や収入減で自立した生活を送れなくなっています。コロナが落ち着いたら、訓練生の受け入れ人数を増やし、就職支援をさらに強化する計画を立てています。本校を応援してくださる日本やミャンマーの皆様に感謝しながら、障がい者が対等な立場で参画できる社会づくりに取り組んでまいります。