トルコ南東部で6日発生した大地震は10日現在、隣接するシリアと合わせて2万人以上の死者が確認され、発生から72時間を経過した後も懸命の救助活動が続いています。AAR Japan[難民を助ける会]はイスタンブール事務所の職員を被災地に急派し、現地協力団体と連携して緊急支援物資の配付を行っています。AARトルコ事務所代表のハリル・オスマンが現場から報告します。
大地震が発生した6日、私はイスタンブール事務所から首都アンカラを経由して、7日に被災地に入りました。大きな被害を受けたガジアンテプ県やハタイ県などでは、多くの住民が倒壊した建物の下敷きになり、救助隊がショベルカーを使って昼夜を分かたず生存者の捜索を行っていました。
家を失った被災者は最低気温が氷点下に下がる厳冬期、公園などに設けられた大型テントのシェルターや車の中で、不安な夜を過ごしています。簡易宿泊所に収容された被災者もいますが、施設内は過密でトイレも十分ではありません。
私たちは現地のネットワークを生かして支援物資を調達し、7日夜にシャンルウルファ県でシェルターに身を寄せる家族に毛布と子ども用おむつを届けました。被災者には幼い子どもが多く、親たちからは「厳しい寒さの中、どうすることもできずにいました。子どもたちの分だけでも毛布をもらえて本当に助かります」という声が聞かれました。
被災地では物流が完全に止まっており、町に数軒しかない薬局には長い列ができています。電力や水道などのインフラも機能していません。AARをはじめ支援団体は近隣の都市から物資を運んでいますが、調達・輸送は困難を極めます。私たちは8~9日、何とか用意したすぐに食べられる食料詰め合わせ、毛布、下着セットを配付しました。しかし、ニーズが高い子ども用ミルク、医薬品や衛生用品などが不足しており、子どもを抱えた家族が途方に暮れる姿に私自身もどかしさを感じています。
被災地ではトルコ政府・地元自治体、NGO、援助機関が連携して緊急支援を展開していますが、被災者のニーズに対して支援が全く追い付いていません。多くの被災者が今、支援を待っています。AARのトルコ地震被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
ハリル・オスマンKhalil Othmanトルコ事務所代表
シリア出身。2014年以降、難民としてトルコに居住。2015 年AARトルコ事務所に入職。地雷回避教育、プロテクション事業に従事し、シニア・マネージャーとして複数のフィールド事務所長を務めた後、2021年10月より現職。