トルコ南東部で6日に起きた大地震では、隣接するシリアと合わせて両国で4万1,000人以上の死者が確認されています。AAR Japan[難民を助ける会]は翌日の7日以降、現地で毛布や食料など緊急支援物資の配付を続けています。AARトルコ事務所代表のハリル・オスマンが現場から報告します。
不衛生な環境で病気の心配も
発生から10日が過ぎた被災地では、今も救助隊が倒壊した建物で生存者の捜索を行う一方、がれきの撤去も進められています。家を失った被災者は厳冬期、公園に仮設されたテントや車両の中で寒さに耐えるか、超過密でトイレも不足した避難施設で過ごすしかなく、不衛生な状態で病気が蔓延する恐れも高まっています。
AARは地元自治体や他の支援団体と協議しながら、シャンルウルファ県内で14~16日、衛生用品(液体石けん、歯磨き、ウェットティッシュ)と生理用品、おむつ、調理済み食品セット(オリーブ、チーズ、ジャム、チョコレートクリーム)を配付しました。支援現場で会った現地当局者は「仮設のコンテナとテント、薪ストーブが足りない」、被災者からは「子ども用ミルクや医薬品が手に入らない」という声が聞かれました。
また、自治体関係者は「被災地は混乱が続いていて、政府による被害状況や支援ニーズの分析が共有されていない。被災者は次の地震やダムの決壊・洪水などの不確かなうわさに怯えており、正確な情報を提供する必要がある」と話します。また、市街地だけでなく郊外の農村部での支援物資の配付も課題になっています。
被災地ではトルコ政府・地元自治体、NGO、援助機関が連携して緊急支援を展開していますが、被災者のニーズに対して支援が全く追い付いていません。多くの被災者が今、支援を待っています。AARのトルコ地震被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
ハリル・オスマンKhalil Othmanトルコ事務所代表
シリア出身。2014年以降、難民としてトルコに居住。2015 年AARトルコ事務所に入職。地雷回避教育、プロテクション事業に従事し、シニア・マネージャーとして複数のフィールド事務所長を務めた後、2021年10月より現職。