ロシアによるウクライナ軍事進攻が始まって1年、日本には2,189人(2023年2月22日現在)のウクライナ避難民が滞在しています。また、2021年8月に政変が起きたアフガニスタンなどからも多くの難民が来日しました。AAR Japan[難民を助ける会]は、こうした来日避難民・難民の方々が少しでも安心して日本で暮らせるようにサポートしています。東京事務局の櫻井佑樹が報告します。
ウクライナ避難民は日本政府が早々に受け入れを表明し、地方自治体や企業・団体による手厚い支援体制が構築される一方、アフガニスタンなどからの難民は、多くの関係者が支援に取り組んでいるものの、充分なサポートが得られる状況にはありません。
こうした中、AARは姉妹団体の社会福祉法人「さぽうと21」の協力を得て2022年5月、母国の紛争・政情不安からの退避を目的として来日した難民・避難民を対象とする「緊急退避者支援プログラム」を立ち上げました。このプログラムでは、過去1年以内にウクライナ、アフガニスタン、シリア、ミャンマーなどから来日し、日本に当面滞在する見込みがあるとの条件で、当座の生活費として緊急一時金を支給。直接の面談を経て225人に資金をお渡ししました。
一人ひとりとの面談を通じて、ウクライナの人々が文字通り着の身着のままで逃れて来たことが分かりました。ご自身のつらい経験を思い出して涙を流す人、最初は緊張していたものの、話をして心の整理ができたのか面談後にホッとした笑顔を見せてくれる人もいました。日本に至るルートもさまざまで、激戦が続くウクライナ東部の町から「人道回廊」を通って辛うじて出国したり、いったん隣接するロシア領に逃れた後に日本にたどり着いたり、過酷で生々しい証言が聞かれました。
ウクライナ避難民の場合、2023年8月頃までは手持ちの生活費が底をついたという人が多く、その後、地方自治体などが同様の一時金支給を開始してからは、日本語学校やアルバイト先に通う交通費の相談が増えました。また、当会のプログラムは政府・行政による支援金を受け取るまでのつなぎ資金の役割も果たしました。
当会の一時金支給はいったん終了し、今後は「生活相談プログラム」に移行して、日常生活の困りごとや悩み、就学・就労相談などに幅広く対応していきます。さぽうと21はかつてのインドシナ難民、中国からの帰国者など多くの方々の日本語学習支援などに取り組んできた実績があります。同プログラムはウクライナ避難民だけでなく、さまざまな困難に直面する難民の方々を対象としており、当会とさぽうと21だけでは解決できない問題については専門団体をご紹介します。
ウクライナ危機発生から1年、AARは日本で懸命に生きる避難民・難民の方々を引き続きサポートしてまいります。皆さまのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
来日避難民・難民支援に関するレポートはこちら
櫻井佑樹Yuki SAKURAI東京事務局
英国の大学院留学後、パキスタンでのNGO勤務を経て2012年AAR入職。ザンビア、タジキスタン駐在の後、東京事務局で国内避難民事業やストップ・キラーロボット・キャンペーンなどを担当。