トルコ南東部で2月6日に発生した大地震から3カ月。隣国シリアと合わせて5万6,000人超が犠牲になった被災地では、復旧・復興に向けた努力が続く一方、今も多くの人々が仮設住宅やテントで不自由な避難生活を送っています。AAR Japan[難民を助ける会]は発生直後から食料や毛布などの緊急配付を実施し、現在も中長期的支援を視野に活動を継続しています。大きな被害を受けたアディヤマン県の被災者の声を現地から報告します。
「地震で2度も家を失うなんて…」
地震で自宅が倒壊したというレムジイさん(38)は、夫と子ども3人とテント生活を続けています。一家は6年前の2017年3月にも地震で自宅が倒壊し、その後、市街中心部に家を再建して暮らしていましたが、その家も2月の地震で再び損壊して住めなくなってしまいました。「6年間で2度も地震で家を失うなんて……どうしてこんな目に遭わなければならないのでしょうか」
この3カ月間、行政や支援団体からの援助はほとんど受けていません。テント生活はとても不自由で、雨が降ると水浸しになります。AARが食料や衛生用品、子どもたちの服を届けてくれて、日本の皆さんに本当に感謝しています。今はただ普通の暮らしに戻ることだけを夢見ています」。レムジイさんは疲れた様子で話しました。
障がい児を抱えて避難生活
2人の子どもの母親ファティマさん(45歳)は現在、集落のはずれに置かれたコンテナの仮設住宅で暮らしています。「最初の地震で家が壊れ、近くの村にある親戚の家に逃れました。ところが、2度目の地震で村の建物の75%が倒壊し、住むところを失いました」。子どものひとりは身体が不自由なため、家が崩れてもすぐに外に逃げることができなかったといいます。2月の寒い時季で「子どもたちは毛布もなくつらかったと思います」。
夫とは死別しており、現金も持っていないファティマさん。「私たち親子にとって、この3カ月間、支援物資だけが頼りです。食料や日用品、それに障がいのある息子のおむつも必要で……」。ずっと寄り添うように支援を続けるAARトルコ事務所の現地スタッフとは顔なじみで、「まだまだ大変な状況なので支援を止めないでほしい」と訴えます。
「この先どうなるのか分かりませんが、今はただ子どもたちの健康と将来のことを考えています。そしてどうか来世では、こんな目に遭わないように祈るばかりです」
今も続くテント暮らし
8人家族の主婦ラヒメさん(50歳)の家は地震で倒壊し、庭先に建てた粗末なテントで暮らしています。「地震が起きた頃は夜間とても冷え込み、家を失ったショックもあって、心身ともに追い詰められた感じでした。食料も毛布もなく途方に暮れていた時、AARの支援が届いて本当に安心しました」。
村の復興は進まず、ラヒメさん一家の生活再建のめども全く立っていません。「ずっとテント生活なので、せめてコンテナを提供してほしいと行政に頼んでいます。それで満足できるわけではありませんが、充分な貯えがないうえに収入も失って、すぐに家を建て直すことなどできませんから」
一日も早く家族とともに普通の生活に戻りたいというラヒメさん。「いつまでこんな状態が続くのか分からないけれど、本当に困っていた時に助けてくれた日本の皆さんに心から感謝します」と話してくれました。
被災地の復興と生活再建は始まったばかりです。AARは時間の経過とともに変わる被災者のニーズを見極めながら、適切な支援内容の検討を重ねています。AARのトルコ地震被災者支援へのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。