開催期間2025年1月1日
愛する土地での復興を支えます
能登半島での地震や豪雨災害によってお亡くなりになられた方々に、深い哀悼の意を捧げるとともに、被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また、発災直後からAAR Japan[難民を助ける会]の支援活動を支えてくださった多くの皆さまに、心より御礼申し上げます。
2024年11月、震災からまもなく1年になろうとする能登地方の被災地を訪れました。
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道路や建物の損壊が今なお残る光景を目の当たりにし、復興への道のりがいかに険しく、そして長いものであるかを改めて感じました。しかし、その厳しい現実の中でも、直接お話しした皆さまの「生まれ育った地元への深い愛着」と、「この地で、再び生活を立ち上げていく」という強い思いに触れ、胸が熱くなりました。
AARはこの一年間、困難な状況下にある人々の中でも、特に弱い立場にある方々へ、長期的な視点をもって支援を届けてまいりました。これからも、復興の道から取り残される人がいないよう、被災地を支え続けていきたいと思います。
能登半島の皆さまが、愛する土地で復興を遂げられるよう、今後も全力で活動に邁進いたします。引き続きAARの活動をお支えくださいますようお願い申し上げます。
AARの能登半島での支援
❶ 炊き出し
認定NPO法人ピースプロジェクト(代表:加藤勉AAR理事)と協力し、寒さや断水、停電の中で避難生活を送る方々を支えるため、栄養バランスや食べやすさに配慮した食事を提供しました。また、地元のシェフグループや、炊き出しを行う協力団体への調理器具の提供や材料費支援などを通じ、計17万食を提供しました。
➋ 緊急支援物資の配付
水や食料、衣類、衛生用品、灯油などを避難所や在宅避難者、高齢者施設などに届けました。長引く断水の中で、携帯トイレや無水シャンプー、体拭きシートなどが重宝されました。多くの企業が物資を提供してくださり、配付には地域の方々やボランティアにご協力いただきました。
➌ 福祉施設/障がい者への支援
障がい団体のきょうされんや、日本障害フォーラムと協力し、発災当日から障がい者の被災状況について情報を収集しました。また、1月3日から障がい福祉施設を回り、各所で必要とされている物資を届けました。その後も、被害を受けた施設が運営を再開し、利用者が工賃を得られるよう、設備の新設・修繕や資機材の提供など、計13施設を支援しました。
➍ コミュニティ支援
「お風呂カー」を使った入浴支援、理学療法士などによる出張マッサージ、弁護士による相談会や避難者同士の交流会など、細かなニーズに応えるさまざまな支援を行いました。
➎ 外国人被災者支援
言葉の問題や生活習慣の違いから、支援情報へのアクセスや避難所生活が難しい外国人被災者への支援にも注力。
自宅へ支援物資を届けたほか、協力団体が行う日本語教室や震災ストレスの解消を目的とした交流イベントの開催を支援しました。活動を通じて、災害に備えた地域とのつながりをつくっています。
➏ 仮設支援
石川県志賀町と中能登町の仮設住宅に入居した約520世帯に、電子レンジや掃除機などの生活家電を提供しました※1。また、仮設住宅の集会所では、交流サロン「やわやわ※2喫茶」を開催し、入居者同士の交流を促進しています。
※1 この支援は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています
※2 石川県の方言で「ゆっくり」「無理せずに」という意味
明日のために 能登からの伝言
能登半島地震の被災地で活動する3名の方の特別インタビューをご覧ください。
歩幅に合わせた支援がありがたい 木谷昌平さん(一般社団法人 ななお・なかのと就労支援センター センター長) | 特別インタビュー | AAR Japan[難民を助ける会]:日本生まれの国際NGO七尾市初の就労継続支援A型事業所「LABO(ラボ)」を2022年10月に開設しました。A型事業所は、障がい者に最低賃金を保障する経営的に難しい仕事ですが、和倉温泉のベッドメイクや浴場清掃の仕事が高い評価...
外国人との「つながり」を 大星 三千代さん ( 七尾市国際交流協会 理事長) | 特別インタビュー | AAR Japan[難民を助ける会]:日本生まれの国際NGO災害時の外国人支援は、七尾市国際交流協会にとって初めての経験でした。AARと外国人の方々を訪ねて回り、初めてニーズを知りました。最初は水や食料、給水用の10リットルのポリタンクを配りました。直接顔を合わ...
温かい炊き出し地元と民間の力で 冨成 寿明さん (輪島市町野町で「日本料理 富成」を営むシェフ) | 特別インタビュー | AAR Japan[難民を助ける会]:日本生まれの国際NGO地震発生後、1月4日から7月末まで避難所で炊き出しを続けました。次のことを考え始めた矢先、町野町は死者3人を出す大雨に襲われました。炊き出しを復活し、10月末まで続けました。この1年、それまでの人生よりも...
協力し合いながらの1年:「ゆうの丘」とAAR
石川県七尾市の社会福祉法人「野の花福祉会」が運営する障がい福祉サービス事業所「ゆうの丘」(本田雄志理事長)とAARは、震災直後の1月3日にAARが支援物資を届けて以降、協力して活動しています。本田理事長は「AARは必要な物を的確にスピーディーに提供してくれる」と話します。
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ゆうの丘では、10代から70代の知的・精神障がい者約30人が、自動車部品や菓子箱の組み立て、アルミ缶のプレス、菓子や乾燥シイタケの製造などの仕事をしていました。激しい揺れで施設周辺は断水し、建物も損壊。しかし、周辺道路は使用できたため、関連施設を救援物資の倉庫として提供してくれました。水・食料、下着、簡易トイレなどAARが集めた何百箱もの支援物資の積み下ろしを、職員の方々が手伝ってくれました。
利用者の生活再建には、仕事の再開が不可欠です。AARは菓子作りに使うミキサーを提供したほか、地割れし、段差ができたアルミ缶プレス作業場を新築。倒壊したシイタケ乾燥小屋も作り直しました。
11月13日、秋風のさわやかな好天の下、2棟の贈呈式が行われました。 本田理事長の「地震で奪われた働く場をAARが再建してくれ、感謝に堪えません」との言葉に続き、利用者から「ありがとう」と元気な声が響きました。
誰も取り残さない支援/コミュニティの強化
国内災害担当 生田目 充
被災地全体の復興が途上である中、障がい者や高齢者、外国人の中には、新しい情報や支援から取り残されやすく、自力で生活を立て直すことが難しい方が多くいます。また、2024年11月下旬には、地震での「災害関連死」が「直接死」を上回り、コミュニティの再構築が急務となっています。
AARは今後、こうした方々へ支援を届けるとともに、コミュニティのつながりを強める活動に注力します。具体的には障がい福祉事業所の復旧・障がい者への個別支援/外国人向けの日本語教室の普及と防災ネットワークの構築/仮設住宅入居者や在宅避難者を対象とした交流サロン/孤立しがちな在宅避難者への支援、などを行います。2年目の活動にもご支援くださいますようお願い申し上げます。
能登の宝 キリコ祭り
「能登のキリコ祭り」は、豊漁や豊作を祈願し、能登半島各地約200カ所で行われています。2024年は、奉納される燈籠の「キリコ」が津波で流されるなどして、中止や縮小を余儀なくされた祭りも多かったそうです。
写真の模型は、珠洲市の障がい者福祉事業所「すず椿」で制作されたもので、交流のある七尾市の事業所「ゆうの丘」の本田雄志理事長が、AARの活動のお礼にと、プレゼントしてくださいました。
模型を作っている方々も祭りの再開を心待ちにしているそうです。2025年は、能登半島の復興が進み、例年のように大きな燈籠が夏の夜空を照らしてくれることを願います。(東京事務局 髙木卓美)
会計報告
報告書を作成しました
AARがこれまでに実施した、能登半島地震/豪雨への支援活動をまとめた報告書を作成しました。この特設ページではご紹介していない内容も掲載していますので、ぜひご一読ください。冊子の郵送をご希望される方は、こちらからお問い合わせください。
マンスリーサポーターを募集しています!
能登半島地震が発生した際、AARが迅速に支援活動を開始できたのは、マンスリーサポーターとして支えてくださる方々のご支援があったからでした。「助け合える世界を築きたい」。AARの想いをキャンペーンページでご覧いただき、ぜひ、マンスリーサポーターとして活動にご参加ください。