AAR Japan[難民を助ける会]などアフガニスタンで人道支援活動を行っているNGO4団体は2021年9月9日、政情不安が続く同国で働く現地職員と家族の日本への退避を支援するよう求める共同声明を日本政府に提出しました。
衆議院第2議員会館(東京・永田町)で同日開かれた「人権外交を超党派で考える議員連盟」(発起人代表:中谷元議員、山尾志桜里議員)の会合で、日本大使館や国際協力機構(JICA)、NGO職員など現地協力者の救出について協議が行われ、北岡伸一JICA理事長、林佳世子・東京外国語大学学⾧、酒井啓子・千葉大学教授、伊勢崎賢治・東京外国語大学教授に加え、NGOを代表してAAR事務局長の古川千晶が出席しました。
アフガニスタンでは、米軍を主体とした駐留外国軍の撤退に伴い、反政府武装勢力タリバンが8月15日に首都カブールを制圧して政権を掌握した後、外国政府・機関のアフガニスタン職員が抑圧を恐れて海外に退避しています。日本政府は退避を希望する現地協力者(NGO職員を含む)約500人を輸送するために自衛隊機を派遣しましたが、その大部分を退避させることができませんでした。
議員連盟の会合では、現地協力者や日本留学経験者とその家族を安全に退避させ、日本に受け入れる方策を協議し、日本政府に支援を働き掛けることで合意しました。外務省、防衛省、法務省(出入国在留管理庁)関係者も出席しました。
AARなどNGO4団体をはじめ、大学関係者や企業など賛同団体/賛同者674人(9月9日10時時点)は同日、「退避を求めるアフガニスタン人受け入れに関する要請」を日本政府に提出しました。要請では、①日本に関係するアフガニスタン人(家族を含む)の受け入れと支援、②同国からの自由な出国の確保のための国際社会と連携した政治的努力、③日本での在留資格認定および査証(ビザ)発給手続きの簡素化・迅速化、④家族・親族の帯同への人道的対応、⑤退避者への在留資格付与、⑥民間による受け入れ体制づくりへの公的支援――を求めています。
また、アフガニスタン国内では今年に入って57万人以上が家を追われ、国内避難民になっていることから、同国に対する人道支援の継続も要請しました。AARをはじめ共同声明を提出したNGOや大学関係者は14日、オンラインで記者会見を開き、混迷を深める現地情勢と人道支援の必要性をアピールしました。
AARは2002年、首都カブールに現地事務所を開設し、地雷の危険を伝える回避教育、障がい児の就学支援、災害時の被災者支援など人道支援活動を実施してきました。現地の人々に寄り添う支援活動は高く評価されてきましたが、今年8月の旧政権崩壊後の治安悪化で活動の停止を余儀なくされています。日本への退避を希望する職員をサポートするとともに、国内避難民への人道支援の実施を模索しています。AARのアフガニスタンでの取り組みへのご理解・ご協力をお願い申し上げます。
※「退避を求めるアフガニスタン人受け入れに関する要請」に関する今後の協議の進捗等につきましては、以後発起団体の一つであるパスウェイズ・ジャパンのウェブサイトにて発信される予定です。
アフガニスタンに関するそのほかのお知らせ
アフガニスタンにおける活動について(2021年8月16日)
アフガニスタン情勢で共同声明(2021年8月24日)
9.11から20年~アフガニスタンの現状に寄せて(2021年9月10日)