今月中旬の記録的大雨(令和5年7月大雨)で大きな被害が発生した秋田県で、AAR Japan[難民を助ける会]の緊急支援チームは、障がい者福祉施設を中心に被災状況を調査しながら支援活動を実施しています。26日に秋田市内に入った東京事務局の小山真子が報告します。
市域の広範囲が浸水した秋田市内では26日、JR秋田駅前は水が引いて、被災家屋の家財道具の片付けも進んでいるように見えましたが、同駅の東西を地下で結ぶ秋田中央トンネル(2.5キロ)は復旧せず交通渋滞が続いています。各所に設けられた廃棄物回収場に積み重なった家具や布団、たたみなどの山が被害の大きさを物語っています。そのひとつ広面近隣公園は、災害ごみ仮置き場として17日に設置されたものの、受け入れ容量を超えて24日に閉鎖されたといいます。
AARは障がい者の自立支援を担う特定非営利活動法人ほのぼの(金登美一理事長)の要請を受けて、氾らんした太平川に近い同市楢山大元町地区のアパートに向かいました。ここで暮らす施設利用者の30代男性によると、アパートは道路より約1メートル高い位置にありますが、水位2メートルほどの氾らんで床上まで浸水し、1階の部屋は家財道具が水浸しになってしまいました。
男性は「水が玄関近くまで上がって来たので、急いで2階に上がって、階段の踊り場で一晩過ごしました。翌朝、何とか近くの中学校まで避難しましたが、18日に学校が再開したので、市役所に設置された臨時避難所に移りました」と話します。
アパートに戻れる見込みがないため、男性は新居に引っ越さざるを得ず、AAR緊急支援チームは臨時避難所から新居に移る手伝いをしました。家具・家電や寝具など多くは使えなくなりなり、家族との写真、卒業証書など大事なものも泥まみれになっていました。
AARが新たな生活に必要なものを用意してお渡しすると、男性は「自分たちだけではとても片付けられなかった。助けに来てくれて本当にありがとう」と話してくれました。
ほのぼのの金理事長が「またゼロからのスタートだね」と声を掛けると、男性は「ゼロからじゃない。イチからだよ」とはにかみながら応えました。12日間に及んだ避難生活で疲れが残る中、男性は前向きに新しい生活をスタートしようとしていました。
また、同市内の別の社会福祉法人に提供した高圧洗浄機などが水害の後片付けに活用されているほか、現地団体と協力して炊き出しを開始する予定です。AARは被災地の障がい者福祉施設を中心として、復旧・復興から取り残される人がいないよう、一人ひとりに寄り添った支援を実施してまいります。
災害発生直後からご寄付をお寄せ下さった多くの皆さまに心より御礼申し上げるとともに、引き続き、AARの被災者支援へのご協力をお願い申し上げます。
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小山真子KOYAMA Mako東京事務局
法律に関わる公的機関に勤務した後、2022年7月AAR入職。東京事務局広報コミュニケーション部で主に支援者対応を担当。