活動レポート Report

寒さの中「何もかも失った」:モロッコ地震被災地に入りました

2023年9月25日

北アフリカのモロッコで今月8日に発生した大地震では、2,900人以上が死亡し、数十万人が家を失って避難生活を余儀なくされています。AAR Japan[難民を助ける会]が派遣した職員2人が24日、被害が大きかった同国中部の山岳地帯に入りました。東京事務局の八木純二が現地から報告します。

テントの前で抱きしめ合う親子

避難民キャンプでアリ君を抱きしめるホーシンさん。右はAAR職員の長野峻典=モロッコ中部アスニ地区で9月24日

モロッコの地図

「私は何もかも失って、今は子どもたちを守るのに精一杯です」。モロッコ中部の都市マラケシュから南に車で2時間、山岳地帯にあるアスニ地区ティンゼルト村の避難民キャンプで、商店主のホーシンさん(55歳)は涙ながらに話しました。

夜中に地震が起きた時、ホーシンさんは身を挺して子どもたちを守りました。しかし、自宅と店舗は倒壊し、親戚の夫婦も建物の下敷きになって亡くなったといいます。ホーシンさんの妻は先頃病死しており、息子のアリ君(10歳)は地震のショックで精神的に不安定になっています。「店を失って収入が途絶えたうえ、母親がいないので私が子どもたちの面倒をみなければならない。この先のことなど考えられません」。そう言って、ホーシンさんは不安そうな表情のアリ君を抱きしめました。

AARスタッフと立ち並ぶテント

現地団体アミス・デ・エコルと打合せをする長野

経済的に恵まれない山間のティンゼルト村では、震災で21人が死亡し、そのうち8人は子どもでした。ティンゼルト一帯の村々は山岳地帯のため、半月余りを経た今も充分な支援が届いていません。AARは現地団体アミス・デ・エコルと協力して、この地域でテントを緊急配付しています。

テントが立ち並ぶ丘

被災者向けに設置されたテント

しかし、山岳地帯ではすでに朝晩は気温が下がり、冬季には雪が40センチほど積もることがあるため、仮のテントでは冬を越すことができません。食料や衛生用品などの物資配付に加えて、越冬に向けた仮設住居の建設が急がれます。また、村によっては給水やトイレなど衛生状態の改善も必要になっています。

瓦礫や壊れた車

山岳地帯の被災地(アミス提供)

大地震の発生から半月余り、被災地では支援が全く足りておらず、多くの被災者が助けを待っています。AARのモロッコ地震被災者支援へのご協力をお願い申し上げます。

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八木 純二YAGI Junji東京事務局

国際協力NGOにて広報職員や海外駐在員として勤務後、2022年にAAR入職。広報コミュニケーション部職員として広報や渉外を担当

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