北アフリカのモロッコで今月8日に発生した大地震では、山岳地帯のアスニ地区で特に大きな被害が出ました。家を失い、同地区に設けられた避難民キャンプで暮らす被災者の家族の思いを東京事務局の八木純二が現地から報告します。
地元アトラス山脈の山岳ガイドとして20年間働いてきたムバラクさん(57歳)は、妻と子ども3人の5人家族でテントに避難しています。一家が住んでいた人口200人余りの山村では、数少ないコンクリートの建物は残ったものの、日干しレンガ造りの家75棟が倒壊し、6人が亡くなりました。「村人の多くが私と同じ観光産業に従事していましたが、今はそれどころではありません」。
家族が身を寄せるモロッコ政府支給のテントは、ある程度の広さはありますが、中に入ると真っ暗で風通しも悪く、外気が25度くらいでも内部は耐えられないほど暑くなると言います。ムバラクさんは「地域住民が衣料や毛布をくれましたが、山岳地帯はやがて訪れる冬場はとても寒くなるので、このままテント生活を続けるのは相当厳しくなるでしょう。食料は軍や警察から支給を受けているものの、育ち盛りの子どもたちを抱えて、とても充分な量とは言えません」と話します。
ムバラクさんは一家の生活について、「何よりも家を再建したい。政府の補助金が出るようですが、支給額も時期も分からずとても不安です。地震で観光客もいなくなって、この先の仕事の目途が全く立たず、これから先どうすればいいのか見当もつきません」と頭を抱えました。
今回の地震は、とりわけ経済的に恵まれない地域の人々に深刻な打撃を与えています。冬を前にして仮設住宅の建設などの支援が求められています。引き続き、AARのモロッコ地震被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
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八木 純二YAGI Junji東京事務局
国際協力NGOで広報職員や海外駐在員として勤務後、2022年にAAR入職。広報コミュニケーション部職員として広報や渉外を担当