能登半島地震の被災地では、多くの外国人居住者が必要な支援を受けられず、不安な気持ちを抱えて孤立しています。AAR Japan[難民を助ける会]は1月13日、石川県能登町で漁業に携わるインドネシア人技能実習生たちに食材や衛生用品などを届けました。
石川県内ではカニやエビの底引き漁などに従事する外国人が多数働いており、その大半がインドネシア出身の若者たちです。AARは震災発生直後に派遣した緊急支援チームが支援活動を進める過程で、言葉の問題などもあって周囲に助けを求めにくく、避難所にも滞在せず、充分な支援を受けられずにいる外国人居住者が少なくないことに気付きました。
能登町小木漁港近くの宿舎で暮らすインドネシア人技能実習生28人(いずれも20代男性)に話を聞いたところ、「新鮮な野菜やコメなどの食材、トイレットペーパー、石けんやシャンプーが手に入らない」とのことでした。そこでAARチームは富山県側で物資を調達し、13日に能登町に届けました。食材、衛生用品のほか、下着やクーラーボックス、灯油などを順次提供しています。
リーダー格のヤコブさんは「インドネシアとは違う寒さの中、灯油ストーブで暖房しているので、灯油をもらって安心しました。車は運転できず、自転車で買い出しに行っても買える食材は限られ、分量も全く足りていません」と話します。自炊に欠かせないスパイスやカレーに加え、長粒のタイ米を届けたところ、「これ!これ!」とたいへん喜ばれました。
彼らをサポートしている地元関係者によると、実習生たちは震災直後、町内の避難所に行ったものの意思疎通できず、配られた非常食も口に合わないため、やむなく宿舎での在宅避難に切り替えたとのこと。その後、事情を説明して避難所で支援物資をある程度受け取れるようになったといいます。生活用水は雨水を溜めて使い、電気は震災1週間後の8日にようやく復旧しました。
実習生たちは「漁に出られなくなってしまい、これからどうなるか分からない」「インドネシアと違って寒いし、今とても苦しいです」「家族から早く帰って来いと言われている」などと訴えながらも、祖国から遠く離れた被災地で、仲間同士で何とか支え合って暮らしています。AARは避難所での炊き出し、物資提供に加え、より困難な状況に置かれた障がい者や外国人居住者のサポートに力を入れています。
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