活動レポート Report

「炊き出しに使って」静岡から新鮮な野菜が到着:能登半島地震

2024年1月23日

能登半島地震の発生から3週間余り、被災地では厳しい冷え込みの中、AAR Japan[難民を助ける会]の緊急支援チームは、他団体とも連携して炊き出しを続けています。石川県輪島市内の炊き出しでは先週来、静岡県浜松市のマブチ農園(馬淵康之代表)から提供された新鮮な野菜を使って、被災住民の皆さんに温かい食事をお届けしています。

野菜が入ったかごの後ろで5人が並んで座っている/畑で3人が大根を収穫している

能登半島地震の被災地に送られる野菜とマブチ農園の皆さん(左)/マブチ農園の収穫風景(右)=静岡県浜松市

「わあ、うれしい!」「寒いので温まるよ」「家族でよく作って食べてました」――。輪島市ふれあい健康センターに設けられた避難所で、郷土料理「とり野菜みそ」を受け取った皆さんが思わず声を上げました。野菜やキノコなど好きな素材を煮込んだ栄養満点の温かい鍋料理はおなじみの味。不自由な避難生活が長引く中、皆さんはひと時ホッとした表情を見せてくれました。

大根、かぶ、小松菜、さつまいもなど野菜の多くは、無農薬・無肥料で年間60~70種の野菜や果物を育てているマブチ農園とFARM KTTが「被災者の皆さんへの炊き出しに役立ててほしい」と提供してくださったものです。AARは東本願寺や風組関東など他団体の支援チームと協力して、震災発生直後から輪島市、珠洲市、能登町の避難所で炊き出しを継続し、これまでに1万3,000食以上を届けています。

大きな鍋で野菜を煮込んでいる/野菜を切っている男性

AARと東本願寺チームが連携して実施する炊き出しで野菜たっぷりの郷土料理「とり野菜みそ」を提供(左)/マブチ農園の野菜を調理(右)=輪島市ふれあい健康センター

同農園の小松沙矢香さんは「農家では最盛期に売り切れないほどの野菜が収穫される場合があり、新鮮な野菜が被災地でお役に立てば、これほどうれしいことはありません。他の農園の方々にも、このような支援の方法があることを知ってもらえればと思います」と話し、輸送費など野菜提供にかかる募金を農家に呼びかけて支援の輪を広げています。今週も聖護院大根、里芋、じゃがいも、かぼちゃ、みかんなど計100キロ以上の野菜と果物が被災地の集積所に届いています。

大根やカブ、かぼちゃ、菜花など多くの新鮮な野菜が段ボール8箱分積まれている

マブチ農園から石川県七尾市の集積所に届いた新鮮な野菜=2024年1月23日

AARは多くの企業・団体の皆さんと連携して被災者支援に取り組んでおり、「被災者の人々のために本業を生かして何かしたい」「物資の輸送を手伝いたい」などのお申し出を多数いただいています。甚大な被害を受けた被災地で当会にできることは限られており、思いを託してくださる企業・団体や個人の皆さまのお力添えがあってこそ、被災地で必要とされる支援を届けることができます。

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