能登半島地震の発生から2カ月半が過ぎて、石川県内の被災地ではインフラ整備やがれきの撤去などの復旧作業が進む一方で、個々の被災者の生活再建に向けた取り組みが始まっています。AAR Japan[難民を助ける会]は被災者の皆さんからの強い要望を受けて、公的支援について専門家が分かりやすく解説する「生活再建のための支援制度活用講座&相談会」を先月中旬から開催しています。現地からの報告です。
「先々が不安」の声に応えて
AARが震災発生後まもなく支援を開始した輪島市町野町の若桑公民館。作業療法士による出張マッサージを受けた後、被災者の皆さんは気持ちがほぐれたのか、これからの生活の不安について問わず語りに話してくれました。
「被害に遭った自宅の再建をどうしたらいいのか」「公的支援はどれくらい受けられるのか」「不安で夜も眠れない」「自宅が再建できなかった場合どうなるのか」。そこでAARは、東日本大震災などの被災地で、法的な支援を通じて被災者の生活再建を支えてきた永野海弁護士(日弁連災害復興支援委員会副委員長/防災士)に依頼し、住民向けの説明会を開催することにしました。開催を準備する過程で、地元自治体の職員からも「複雑な制度情報を整理するために説明を聞きたい」と参加の申し出がありました。
大盛況の各会場 質問も絶えず
永野弁護士は「まず知っておいてほしいことは、日本では国や自治体の人たちが、被災者に支援金などを自動的に届けてくれる仕組みにはなっていないということです。被災者が自分自身で支援制度に関する情報を集め、それを申請して初めて支援が受けられるという仕組みになっています。ですから、制度について知ることが第一歩です」と指摘します。
講座&相談会「被災後の生活再建のために知っておくべき知識~再建までの流れと様々な支援制度」は2月12日と3月9~10日、計6カ所で開催し、計170人以上が参加しました。永野弁護士は、まず避難生活から「自宅の修理」「自宅の建て替え」「引っ越し(賃貸・購入・建築)」「災害公営住宅」の4つの生活再建の流れがあること、その過程で受けられるさまざまな公的支援について説明。さらに支援を受けるための申請方法と注意事項、り災証明の取得の仕方、り災証明と支援制度の関係などを分かりやすく解説しました。
さらに「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」という住宅被害の種類、り災証明を取得するために自宅を片付ける前に必ず被災状況を動画で記録する必要があること、応急修理制度を利用すると仮設住宅への入居はできないこと、り災証明に納得がいなかければ再調査も申請できることなど詳しく説明とアドバイスしました。
「焦らずに再建手続きを進めて」
どの会場でも、参加者の皆さんはメモを取りながら熱心に聞き入り、活発に質問も出て、講座終了後の個別相談には行列ができるほどでした。参加者からは「専門家に悩みを聞いてもらえて良かった」「支援の仕組みが分かって不安が解消されました」「相談会を開いてくれて本当にありがとう」などの声が聞かれました。永野弁護士は「焦らずに制度の内容をよく確認し、地元の行政や弁護士会にも相談しながら生活再建に向けた手続きを進めてほしい」と話します。
AARは炊き出しや物資提供に留まらず、被災者の皆さんに寄り添い、生活再建に向けた取り組みをさまざまな形でサポートしています。AARの能登半島地震被災者支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
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