活動レポート Report

パキスタン大洪水から1年半:被災した学校の衛生環境を整備

2024年3月27日

2022年夏のパキスタン大洪水の発生から約1年半、国土の3分の1が水没したと言われる歴史的災害では1,700人以上が犠牲になり、約3,300万人が被災しました。AAR Japan[難民を助ける会]は発生直後に緊急支援を開始し、食料や衛生用品の物資配付、給水車による配水などの支援を実施。2023年9月からは南部シンド州で学校の水衛生環境を改善する活動に取り組んでいます。現地からの報告です。

床に座ったい女の子たちが、笑顔で手を挙げている

AARが実施する衛生啓発活動に参加する子どもたち=パキスタン南部シンド州ダドゥ郡で2024年2月1日

バリアフリートイレ、手洗い場など設置

パキスタン南部に位置するシンド州は、首都イスラマバードから遠く離れていることもあり、洪水後の支援が届きにくい状況が続いていました。また、水没した土地の水がなかなか引かず、他の地域と比べて復興が大幅に遅れていました。学校では校舎やトイレが破壊されたまま放置され、子どもたちは劣悪な環境で勉強を続けざるを得ませんでした。

AARが2023年5月に同州で行った調査では、8割以上の学校で手洗い場やトイレの大半が使用できない状況にあることが分かりました。汚染された井戸水によって、半数以上の子どもたちが下痢や皮膚病の被害を訴えており、肝炎やコレラ、腸チフスに感染していた子どもも少なくありません。

AARは2023年9月に同州ダドゥ郡で支援活動を開始し、小学校6校でバリアフリートイレや手洗い場、井戸などの水衛生施設を建設しました。洪水の後、屋外で用を足すしかなかった子どもたちは、「安心してトイレを使えるようになって本当にうれしい。もう学校でトイレを我慢しなくていいんだ!」と喜んでいました。完成したばかりの手洗い場に並んで順番を待ったり、井戸に集まって水を飲んだりする子どもたちの笑顔が見られました。

井戸の周りに集まる子どもたちが水を飲んでいる様子

完成した井戸から水を飲む子どもたち=2024年3月

「衛生クラブ」の活動をサポート

笑顔の子どもたち

「衛生クラブ」で手洗いについて学ぶ子どもたち

子どもたちの健康を守るためには、トイレや手洗い場を作るだけでは十分ではありません。どのように身の回りを清潔に保つか、どのように感染症を防ぐのかといった知識を子どもたちが身に付け、習慣として続けていく必要があります。そのためAARは、子どもたちが衛生的な習慣を継続できるように、子どもたち自身による「衛生クラブ」の活動を支援しています。

複数の子どもたちと話し合う女性

衛生クラブについて子どもたちと話合うパートナー団体職員

衛生クラブでは、子どもたちはAARの現地パートナー団体の職員から身の回りを清潔に保つ方法を学びます。その後、子どもたちの中から衛生啓発チームキャプテンが選ばれ、他の子どもたちに広める役割を担います。チームキャプテンとなった子どもは「病気にならないようにみんなに伝えていきたいです」と張り切っています。キャプテンから丁寧に手を洗う方法を学んだ子どもたちは、指先の汚れが落ちているかをお互いに確認し合っていました。

また、AARは石けんやシャンプー、歯ブラシや歯みがき粉などを家庭でも利用できるように、衛生用品のセットを配付しています。

話し合う二人の女の子

衛生啓発チームキャプテンのバッジをつけた児童(右)が他の児童に知識を伝える活動を実施

パキスタンを襲った大洪水に際して、皆さまから多大なご支援をお寄せいただいたことに、改めて心より御礼申し上げます。AARは引き続き、パキスタンの子どもたちのために活動に取り組んでまいります。AARの支援活動へのご協力をお願い申し上げます。

※写真はすべてLegal Rights Forum提供
※この支援事業は皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています。

紺野 誠二KONNO Seiji東京事務局

AARから英国の地雷除去NGO「ヘイロー・トラスト」に出向し、コソボで8カ月間、地雷・不発弾除去作業に従事。現在は地雷問題やパキスタン事業を担当。

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