活動レポート Report

志賀町の仮設住宅で避難生活をサポート:能登半島地震

2024年5月13日

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県志賀町では、住宅が全壊または大規模半壊した被災者の応急仮設住宅への入居が進んでいます。AAR Japan[難民を助ける会]は石川県や志賀町と連携し、入居世帯への生活家電の配布などの支援に取り組んでいます。

仮設住宅住民とAAR職員の写真

聞き取り調査で仮設住宅を訪問し、チャリティチョコレートを手渡すAARの桐生栞。チョコにはセールスフォース主催イベントの参加者と社員の皆さんからのメッセージが添えられている=石川県志賀町とぎ第3団地(富来湾漁協倉庫跡地)で2024年4月27日

志賀町内には194世帯分の仮設住宅が建設され、4月に入居が始まりました。入居者には県からテレビ、洗濯機、冷蔵庫が一律支給されますが、AARの支援は入居説明会の際に用意したリストからほしい家電を選んでもらい、後日配送するシステムです。「しか第一団地」の集会場で4月27日に行われた説明会には21世帯の皆さんが出席。志賀町職員が入居契約や水道、電気、ガス、ケーブルテレビの利用などについて説明した後、AARから家電申し込みとサポート体制についてお伝えしました。

AARスタッフ2名に説明を受ける仮設住宅住民

志賀町と合同開催した入居説明会=しか第1団地(旧堀松保育園)で2024年4月27日

説明会に参加した70代男性は「入居できるようになってひとまず安心した。全壊した家から引っ張り出した使える物を車に積めるだけ積んで持って来た」と話し、早速、仮設住宅の部屋に荷物を運び込んでいました。「たまに手伝ってもらうけれど、ほとんど一人で家の片づけをしている。持病があるのですぐ疲れてしまい、遠くまで荷物を預けに行ったり災害ごみを捨てに行ったりするのは大変だよ」。

車に荷物を満載してきた男性

仮設住居に早速運び入れようとテレビや毛布などを持参した男性

AARが調達した家電は順次届いており、「とぎ第1団地」から「第3団地」の約80世帯に聞き取り調査したところ、お届けした製品は不具合なく活用されており、「とても助かっているよ」とおおむね好評でした。

配布した生活家電の写真

AARがお届けした生活家電の一部

被災家屋の片付けが課題

支援のニーズをお聞きする戸別訪問の際、自宅が大規模半壊の判定を受けた干場功さん(80歳)が「実情を見てほしい」と近くにある家に招いてくれました。2階建て家屋の1階と基礎部分が損壊し、「震災後、毎日通い続けて4カ月がかりでようやく片付いてきた。とても愛着のある家だが取り壊す以外ない。同じ場所に小さな家を建てるつもりだから、また2年後くらいに見に来てよ」。

緊急期が過ぎて改めて気付くのは、被災家屋の片付けや撤去がいかに大きな負担になっているかということです。「大規模半壊」以上の判定を受けると、一般のボランティアは家屋に立ち入ることができないため、被災者は自力あるいは親族の力を借りて、すべてを自己責任で進めなければなりません。また、取り出した家具や物品の保管場所がないというのも、多くの被災者に共通する課題です。

被災時自分の居た場所を示す干場功さん

「地震が起きた時はこの部屋でテレビを見ていた」と話す干場功さん

仮設住宅に入居できるのは、「全壊」または住宅が半壊以上でやむを得ず住宅を解体する世帯、避難指示を受けて避難している世帯です。居住期限は入居から2年間ですが、公費解体が進まず、生活再建の計画を立てることができない状況です。「生活再建の第一歩目からつまづいている状況がつらい」と話す被災者もいます。入居者の半数以上を占める高齢者にとって、将来性と費用の面で折り合いがつかなかったり、土地そのものに地割れが生じて同じ場所に自宅を再建することが難しかったりして、他の地域への移住を視野に入れているケースも散見されました。実際に30世帯から10世帯まで減ってしまった集落もあります。

被災地では復興に向けた懸命の努力が続く一方、個々人ではどうすることもできない課題が山積しています。AARは被災者の皆さんのニーズを丁寧に聞き取り、ひとり一人に寄り添う支援を続けています。AARの能登半島地震被災者支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。

*これらの活動は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)、株式会社セールスフォース・ジャパン、AARボランティアの皆さんなど多大なご支援を受けて実施しています。

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