大型台風11号「ヤギ」が上陸したベトナム北部では、洪水や土砂崩れが発生し、290人を超える死傷者が出ています。AAR Japan[難民を助ける会]の緊急チームは、首都ハノイ近郊のチュオンミー県で被災者の避難生活を支えるための現金給付を開始しました。AAR東京事務局の八木純二が現地から報告します。
チュオンミー県イェンティン村は一帯が水没し、被災した村人の多くが高台にある親族の家などに避難しています。支援物資が不足しており、食料や飲料水を購入できない被災者が多くいる中で、AARは現金給付の支援を実施しました。9月17日、AARは村長や村の人々と連携して、村人に同村の集会所に集まってもらい、当面の生活費に困っている被災者154世帯に現金を支給しました。
「田畑が水没して収穫ができない」
イェンティン村では多くの村人が農業に従事していますが、田んぼや畑は水没し、台風直撃から10日ほど経っても水は引いていません。副村長のモー・バンチェエンさん(37歳)は、「自宅は一階部分が水に浸かったままですが、避難せずに二階で何とか生活しています。今年の収穫は絶望的で、養殖していた魚はすべて流されてしまい、アヒル約1,000羽も全滅しました」と嘆きます。
義母と夫の3人暮らしのム・ウェティヴェさん(57歳)は「低い場所にある家は水没したままで、水が引くのは早くても2週間はかかりそうです。高台にある娘の家に避難していますが、ずっと厄介になるわけにはいかないので、一日も早く家に戻りたいです」。
ゴ・ヴァンヴィンさん(45歳)の家も屋根まで浸水したままです。「日本で働いているベトナムの仲間が寄付を送ってくれました。AARからの支援は、水が引いたら家の片付けや修繕に使います。日本の皆さん、本当にありがとう」。
ベトナムの台風被災地の状況は、日本で伝えられる以上に甚大で、支援はまったく足りていません。AARのベトナム台風被災地緊急支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
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八木 純二YAGI Junji東京事務局
国際協力NGOにて広報職員や海外駐在員として勤務後、2022年にAAR入職。広報コミュニケーション部職員として広報や渉外を担当