今月上旬、台風11号(ヤギ)が直撃したベトナム北部では、300人近くが死亡し、約40人が行方不明のままです。AAR Japan[難民を助ける会]の緊急チームは、被災した障がい者福祉施設の支援を開始します。AAR東京事務局の八木純二が現地から報告します。
首都ハノイ北郊のソクソン県カーフェ村は一帯が水没し、農業や淡水魚養殖などの産業の大きな被害が出ています。この村にある福祉施設「チャイティン・ハム」の障がい者福祉作業所も浸水し、木工作業の機械が水没して使えなくなってしまいました。ディン・クィン・ガー代表は「ここで障がい者10人が働いていますが、被災後は作業を停止しており、給与を支払うことができません。一刻も早く木工機械を修理したいのですが、費用の目途が立たなくて……」と話します。
ソクソン県ベン村では、畑が水没して特産品のお茶がほぼ全滅し、激しい風雨でバナナやグレープフルーツも大きな被害を受けました。障がい者福祉施設「タムー・ゴッグ」は地元の農作物を使って、茶葉やドライフルーツを製造していましたが、食品乾燥機とベルトコンベアが故障しました。チャンティ・トゥワン代表は「機械を早く修理して、作業所を再開しなければなりません。このままでは作業所で働く障がい者に給与が払えず、彼らがますます困窮してしまいます」。
これら2つの福祉作業所を含めて、ハノイおよび近郊にある46福祉施設からなる「ハノイ障がい者協会」のドー・シー・ヒュエン代表は、「ベトナムは災害時の障がい者支援に関して知見が乏しいのが実情です。災害発生時に障がい者が安全に避難し、避難生活に際してどのようなサポートが必要か、施設復旧のために何をすればいいか、日本の経験から学びたいと思います」と話します。
AARは日本・海外を問わず、災害発生時に被災した障がい福祉施設を優先して支援しており、ベトナムでも施設再開に向けた資金提供などのサポートを実施します。AARのベトナム台風緊急支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。
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八木 純二YAGI Junji東京事務局
国際協力NGOにて広報職員や海外駐在員として勤務後、2022年にAAR入職。広報コミュニケーション部職員として広報や渉外を担当