「前回の被災から2年、また被害に遭うなんて… 」 。 西日本の広い範囲で2021年8月11日以降続く記録的大雨は、佐賀県など九州北部を中心に洪水や土砂崩れの被害をもたらしています。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。AAR Japan[難民を助ける会]は17日、被災した同県内の障がい福祉施設への緊急支援を開始しました。現地から報告します。
佐賀県佐賀市と嬉野市では、この1週間で年間降水量の半分を超える大雨を記録し、隣接する武雄市では床上・床下浸水1650戸(17日現在)と、2019年8月の佐賀豪雨を上回る被害が出ています。九州の交通の要衝である長崎自動車道の一部で全面通行止めが続き、避難所や親類宅に避難している住民もいます。
「先週13日から道路が冠水し、14~15日に施設が160センチほど床上浸水しました。2年前より水量が多かったね」。六角川とその支流が氾濫した武雄市北方町のNPO法人菜菜の森和矢施設長は話します。菜菜は身体・知的・精神障がいがある20代~70代21人が農業や食品加工に取り組んでいる共同作業所です。2年前に被災した時もAARが復旧支援を行いましたが、今回も事務室や作業場が水没し、大型保冷庫や乾燥機、家具類などが使えなくなったほか、大豆やカボチャの畑が冠水で全滅してしまいました。
2年前の経験を踏まえて、大雨警報が出た時点でパソコンや車両などを安全な場所に移していましたが、職員の津山葉子さんは「一番痛かったのは、保冷庫に入れていた主力商品の黒ニンニク20キロ以上が廃棄処分になったこと。9月に植え付ける予定だったニンニクの種球80キロも水に浸かってしまい、かなりの損害額になります」と嘆きます。後片付けと消毒をして施設を再開した18日、作業場では利用者の方々が野菜の袋詰め作業に取り組んでいました。
菜菜では昨年来、新型コロナウイルス感染対策を徹底しながら、地域の障がい者が働く場所を確保していました。そんな中で起きた大雨被害に、津山さんは「数十年に一度と言われた水害からたった2年で同じ目に遭って、私たち職員も利用者さんたちも精神的なショックを受けています。簡単に移転するわけにもいかず、せっかく復旧しても、またすぐに災害が起きるんじゃないかと不安な気持ちでいっぱいです」と話します。
AARは佐賀事務所を中心に被害状況の調査を進め、東京事務局・国内災害担当の生田目充が18日に施設を訪問して、要望のあった非接触型体温計や衛生用品、泥を除去するための高圧洗浄機などを手渡しました。このほか、武雄市内にあるNPO法人みつわの宅幼老所「笑びす」、NPO法人つくしのさとの北方作業所にも衛生用品、飲料品、清掃用の大型扇風機などを届けています。
佐賀県内では降雨は小康状態にありますが、新たな災害の発生を警戒しながら、懸命の復旧作業が続いています。AARは障がい福祉施設や高齢者施設を中心に被害状況の調査を継続し、必要とされる支援を実施してまいります。AARの被災者支援活動へのご理解・ご協力を重ねてお願い申し上げます。
*AARは被災地での支援活動の際、コロナ感染拡大防止策を徹底しています。関連機関のガイドラインを参考に、独自の「新型コロナウイルスの影響下における国内緊急支援ガイドライン」を策定し、東京事務局の職員が現地入りする際はPCR検査で陰性結果を確認したうえで、マスク着用や手指消毒をして施設を訪問しています。
ご支援のお願い
令和3年8月豪雨緊急支援への
ご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
※指定された緊急支援活動に必要な資金を上回るご協力をいただいた場合は、次なる緊急支援などに活用いたします。あらかじめご了承ください。