AAR Japan[難民を助ける会]が活動するケニア北部のカロベイエ難民居住地とカクマ難民キャンプ、および周辺のカクマ・カロベイエ地域では、小学校に入学した子どものうち卒業できるのは半数に留まります。AARは難民や地域の子どもに文房具や制服を届ける寄付キャンペーン「学校への懸け橋募金」を実施中です(11月末まで)。前カクマ事務所駐在員の小林鮎実が子どもたちの現状を報告します。
カクマ・カロベイエ地域では、もともとこの地に住んでいるケニア住民に加え、近隣の南スーダンなどから避難してきた難民が一緒に暮らしています。ケニア国内で最も貧しい地域とされ、毎年のように繰り返される干ばつや洪水の影響で、深刻な食糧不足にも見舞われています。
この地域の初等校(8年制)では、入学した子どもが卒業を迎えられる「卒業率」が52.4%と、全国平均(84.1%)と比べて著しく低く、その原因のひとつが貧困です。学校を訪れると、たくさんの子どもでいっぱいの低学年の教室とは対照的に、高学年になるほど人数が少なくなります。
AARは地域ボランティアと協力して、中途退学した子ども、退学しそうな子どもの家庭を訪問し、本人や保護者の相談に乗っていますが、「新しいノートを買えず、一冊を9教科に充てています」「文房具がないので授業に出ても座っているだけです」といった声が聞かれました。難民の場合は仕事をして収入を得ることが難しく、地域住民も細々とした農業や小さな店を営む程度で経済的に困窮しています。文房具や制服を買えないことが、子どもたちの学びを妨げる大きな理由になっているのです。
南スーダン難民の小学校8年生、アジュクさん(16歳)は、亡くなった両親や兄に代わって、ひとりで3人の弟・妹の世話や家事をこなしながら通学しています。おカネがなくてノートや筆記用具を買うことができない中でも、「このような状況だからこそ、将来のためにしっかり勉強したい。どんな大変な道のりも絶対に乗り越えて見せます」と話します。
アジュクさんのように困難な状況にあっても、夢に向かって何とか前に進もうとする強い意志を持つ子どもたちがたくさんいます。彼らが思う存分に学び、学校を卒業して人生を切り拓いていくことで、この地域の未来も創られます。その背中を少しでも後押しするための募金キャンペーンへのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
キャンペーン詳細についてはこちらから
ケニアの難民の子どもたちに文房具と制服を届ける「学校への懸け橋募金」
小林 鮎実KOBAYASHI Ayumi
大学在学中にケニア、ウガンダでボランティア活動。民間企業勤務を経て2023年1月AAR入職。ケニア駐在を経て、2024年8月よりザンビア・メヘバ駐在。