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活動レポート Report

障がい児教育を担う教員を応援しています:タジキスタン

2022年1月5日

中央アジアの山岳地帯に位置するタジキスタンは、1991年に旧ソ連から独立した国です。AAR Japan[難民を助ける会]は2014年以降、障がいの有無にかかわらず、子どもたちが一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」を支援しています。首都ドゥシャンベの国立教員養成大学で実施してきた教員の人材育成事業(2020年12月~2022年1月)について、AARドゥシャンベ事務所の堀尾麗華が報告します。

教育実習生が黒板の前で生徒たちに向かい話している

教壇に立つ教育実習生のナズルロエバ・マブルダさん。心理士として教育に携わることを目指している=2021年11月

「この動物は何か、知っている人はいますか?」「この動物はどんな鳴き声をしますか?」――。ドゥシャンベ西郊ヒッサール市の小学校で、教育実習生のナズルロエバ・マブルダさんが写真を見せながら子どもたちに語りかけました。11月下旬のタジキスタンは寒く、教室では石炭ストーブの火が燃えています。

教室の1年生32人のうち3人はダウン症などの障がい児です。動物の写真と併せて、動物の名前を記したカードも用意されており、マブルダさんは質問を投げかけ、子どもたちの反応を見ながら双方向の授業を進めていきます。

4人の学生が机に座り紙に書いている

障がいのある子どもたちの個別の教育支援計画を策定する学生たち

45分間の授業が30分ほど過ぎた頃、ダウン症の児童が落ち着きを失って教室を動き回り始めたのを見て、マブルダさんはその子に動物の名前を書いたり、絵を描いたりする別の課題を与えて、他の児童の授業を続けました。インクルーシブ教育の教室ではしばしば起きることですが、マブルダさんはこうした時の対応を指導教官から事前に教えられていました。

マブルダさんは国立教員養成大学「心理・インクルーシブ教育学科」の2年生。指導教官のアブドゥマジド・アミノフさん(同学科アシスタント)は「障がいのある子どもが興味を持つことを探して、全員がそれぞれの能力に合った授業を受けられることが大切です。マブルダさんは私の社会心理学の講義で学んだことを生かしていました」と満足そうでした。

AARの教員育成事業が直接の対象とするのは、マブルダさんたち学生ではなく、学生を指導するアミノフさんのような大学教員です。今回の事業では、国立教員養成大学の教員7人に対して「障がい理解研修」「授業のユニバーサルデザインと合理的配慮研修」を実施し、さまざまな障がいの特性についての理解、合理的配慮に加え、誰も取り残さない授業を行うための授業のユニバーサルデザイン化や個別の教育支援計画の作成などを学びました。これらの教員が自分たちの学生に講義を行って研修内容を伝え、知識を広げていく方式です。

障がい児支援施設代表の女性が教員に向かい話している

国立教員養成大学の教員に講義する障がい児支援施設代表の女性=2021年3月

インクルーシブ教育の普及は、現場を担う教職員の育成が大きなカギになります。AARの事業を通じて講義を受けた120人の学生からは「障がい児の教育支援計画を立てるためには、子どもたちと適切なコミュニケーションをして良好な関係を築くことが大切なのが分かった」「計画策定のやり方をすべての教育機関・教育関係者が理解しなければならないと思った」などの感想が寄せられるとともに、従来のように教師が一方的に教えるのではなく、児童との双方向の授業が求められていることが共有されました。

スクリーンに講師が映像で映し出されている 8人ほどの教員が映像を見ながら学んでいる

オンライン形式で障がい児教育の専門家・一木玲子氏の講義を受ける国立教員養成大学の教員たち=2021年8月

AARはタジキスタンのほか、カンボジア、ミャンマーなどでインクルーシブ教育の普及に取り組んでいます。AARの障がい児支援・インクルーシブ教育支援への皆さまのご理解・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

堀尾 麗華HORIO Reikaタジキスタン事務所

在ボツワナ日本国大使館、ユニセフネパール事務所で勤務後、2020年11月にAARに入職。英国の大学院で障がいと開発の修士号取得。趣味はヨガ。兵庫県出身

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