対人地雷禁止条約(オタワ条約)が1997年9月に採択、12月に署名されてから25年を迎えますが、世界の紛争地では今も地雷による被害が後を絶ちません。ロシアの軍事侵攻が続くウクライナでは、民間人の死傷が相次いでいます。AAR Japan[難民を助ける会]東京事務局で地雷問題を担当する紺野誠二が報告します。
軍事侵攻が始まって7カ月、ウクライナではロシア軍の攻撃で民間人5,996人が死亡、8,848人が負傷しています(9月25日現在/国連報告)。死傷者の合計1万4,844人のうち、55%以上は激戦が続く東部のドネツク州、ルハンスク州の住民です。
9月1日~25日だけで民間人897人が死傷し、その大半は無差別攻撃とも言える「人口密集地における爆発性兵器」(砲撃やミサイルなど)によるものですが、地雷・不発弾などの犠牲者も50人(死者6人・負傷者44人)に上ります。
こうした状況を受けて、地雷除去を専門とする欧州のNGOが続々とウクライナ入りし、活動を開始しています。AARは長年のパートナー団体である英国のNGOヘイロー・トラスト(THE HALO TRUST)と資金提供を通じて連携し、ウクライナ国内の地雷除去作業を9月に開始しました。また、子どもを含む住民に地雷の危険性を伝え、被害を防ぐための「回避教育」や、地雷の被害に遭った人々を含む障がい者支援を検討しています。
地雷は戦闘員だけでなく、紛争終結後も民間人を殺傷する極めて非人道的な兵器です。対人地雷の廃絶を目指すAARの地雷対策事業へのご理解・ご協力をお願い申し上げます。
地雷問題シンポジウム 11月26日開催
AAR Japanは11月26日(土)、シンポジウム「地雷問題の今 ウクライナ/アフガニスタン報告~オタワ条約25年に寄せて」(仮題)をオンライン開催します(参加無料)。詳細が決まり次第、当会WEBなどでお知らせいたします。
紺野 誠二KONNO Seiji東京事務局
AARから英国の地雷除去NGO「ヘイロー・トラスト」に出向し、コソボで8カ月間、地雷・不発弾除去作業に従事。現在は東京事務局で地雷問題やアフガニスタン事業を担当。