ウクライナへの軍事侵攻が始まって間もなく9カ月、ロシア軍は電力・給水など市民生活に欠かせない社会インフラを狙った攻撃を続けています。AAR Japan[難民を助ける会]はウクライナ西部テルノピリ州の修道院に滞在する国内避難民を支援していますが、比較的安全とされる西部地域も大きな影響を受けています。
「このところ1日2回は空襲警報が鳴り響き、その度に子どもたちを地下室に避難させています」。今年2月末以降、主にウクライナ東部から逃れて来た女性や子ども、高齢者など約60人が身を寄せるヤズローヴィツ修道院の修道院長、シスター・ユリアは話します。
警報が解除されるのは2~3時間後なので、その間は避難所でじっと我慢するしかありません。近隣の町の病院に具合の悪い子どもを連れて行ったり、年長の子どもたちが地元の小学校に通ったりするのも難しくなりました。行政当局から節電が呼び掛けられ、修道院でも洗濯機の使用を制限せざるを得ず、母親たちは夜通し順番を待たなくてはなりません。
ウクライナ国内では電気技師や配管工などの専門職が不足し、支援物資とともにポーランドからやって来るボランティアが大きな助けになっているといいます。「本格的な冬が近付き、ドライバーたちが暖房用のまき割りを手伝ってくれました」とシスター・ユリア。また、近隣の給油所ではガソリンを一度に20リットルしか買えないため、ポーランドから届く燃料や食料、衛生用品などが避難民の母子たちの命綱になっています。
この修道院は、国内避難民の支援拠点としての役割もあります。「AARがポーランド側から送ってくれる支援物資は、修道院にいる母子だけでなく、地元行政との連携の下、近隣町村に滞在する避難民や地域住民にも分配されています。戦闘が続く東部地域から来たシスターたちは、より困難な状況にある人々を助けるために、ここから支援物資を持って東部に戻って行きました」。
事態が長期化する中、厳しい冬の到来を前にウクライナ難民・国内避難民の人々の苦境が続いています。AARのウクライナ人道支援活動へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
*AAR Japanは特定の宗教を背景とする団体ではありません。ウクライナ人道危機に際して、カトリックの修道院に滞在する国内避難民を支援していますが、布教や宗教活動にはいっさい関与していません。