地雷禁止国際キャンペーン(International Campaign to Ban Landmines)の「ランドマイン・モニター報告2022」が11月17日発表されました。この報告は1999年から発表され、世界各地の地雷の除去、被害、貯蔵地雷などの状況(今回は2021年まで)をまとめたものです。ポイントを3点ご紹介します。
1. 世界の被害者数
2021年の1年間に報告された被害者の数は世界50カ国・地域で5,544人に上ります。近年は2016年の9,440人をピークに減少傾向にありますが、あくまで報告数なので、国によっては実数がもっと多いと考えられています。被害の81%を成人男性と男児が占めています。
ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでも、被害の報告が寄せられています。国連高等人権弁務官事務所の最新報告によれば、直近の2022年11月1~13日の間、確認されただけで地雷や爆発性戦争残存物(Explosive Remnants of War)による死者が5人、負傷者が25人となっています。
2. 対人地雷が使用された国
政府が対人地雷を使用したのは、ミャンマーとロシアの2カ国です。どちらも対人地雷禁止条約(オタワ条約)の締約国ではありません。また、反政府武装勢力による対人地雷の使用が報告されたのは、中央アフリカ共和国、コロンビア、コンゴ民主共和国、インド、ミャンマーの5か国です。
3. 国際的な支援
国際社会による2021年の地雷対策支援額は約5億9,900万ドル(約898億円)、そのうちの90%は日本を含む32のドナー国が拠出しています。しかし、支援は特定の支援分野、特定の国に偏っています。特に支援が不足しているのが地雷被害者に対する支援であり、国際的なサポートは2016年以降で最低のレベルとなっています。
地雷・不発弾などの除去作業や回避教育の重要性は言うまでもありません。他方、すべての地雷が地球上からなくなっても、被害に遭った人々は存在します。被害者支援の強化は長い間求められている課題です。世界各地で長年、地雷被害者支援に取り組んでいるAAR Japan[難民を助ける会]として、その重要性を改めて指摘したいと思います。
「ランドマイン・モニター報告2022」や地雷対策活動などについて、「地雷問題の今」を考えるシンポジウム( 11月26日(土))で詳しくご報告いたします。是非ご参加ください。
・ランドマイン・モニター報告2022
・国連高等人権弁務官事務所 “Ukraine: Civilian casualties as of 24:00 13 November 2022”
・Ukraine: Civilian casualties as of 24:00 13 November 2022 [EN/RU/UK] – Ukraine | ReliefWeb