活動レポート Report

静岡の障がい福祉施設が無事再開:台風15号被災者支援

2023年2月22日

静岡県内では昨年9月、令和4年台風15号による大規模な冠水・浸水被害が発生しました。AAR Japan[難民を助ける会]は、被災した福祉施設に備品を提供し、施設の再開をサポートしてきました。今年1月下旬に施設を訪ねた堀尾麗華が報告します。

早期の事業再開に向けて一歩一歩

社会福祉法人おひさま(磐田市)が運営する「グループホームおおぞら」では被災当時、床上45cmまで浸水しました。壊れた備品を購入するには多額の資金が必要でしたが、公的資金援助の対象外だったため、事業再開には数カ月かかると想定していたそうです。そこで、AARは家具の購入や修繕のための資金を提供し、グループホームは1カ月で再開することができました。理事長の小木秀市さんは「本当に感謝の念に堪えません」と話し、施設利用者の皆さんからも「またグループホームに泊まれるようになってうれしい」「キッチンボードがきれいになって使いやすいです」との声をいただきました。

利用者の皆さんの集合写真

AARが支援した新しい家具を喜ぶ利用者のみなさん=2022年12月6日

支援からこぼれ落ちる人がいないように

障がい者の就労支援を行う特定非営利活動法人さくら活き生きサロン(静岡市)も、公的支援を受けられずに苦労していた施設です。施設の裏手にある公園から土砂が流れ込み、エアコンの室外機が故障しました。知的障がい者や精神障がい者の中には、急な環境の変化への対応が難しい人もおり、以前と同様の環境で作業できるように整備することが急務だったため、AARはエアコンと室外機を提供しました。

事業所長の村松伊津美さんは「寒さが厳しい冬場でも、利用者の皆さんが問題なく作業できて、不安もなくなりました」と話します。「困り果てて役所の助成金申請受付窓口に相談し、AARさんにつないでいただけるという幸運に恵まれました。迅速にサポートしてもらって本当に助かりました。公的助成ではなく民間の支援を受けて、寄付や募金が人を助ける力になることを、身をもって知りました」。

新しいエアコンの写真

AARが「さくら活き生きサロン」に提供したエアコン。施設長の村松さん(中央)とAAR国内災害チーム=2023年1月25日

NPO清水障害者サポートセンターそら(静岡市)が運営する「生活介護ここ」には、AARは利用者の洗髪やおむつ交換の際に使用する昇降式電動マッサージ台を提供しました。昇降式介護ベッドは大きくて部屋に入らないため、マッサージ台を代わりに使用していたそうです。

AARは国内災害に際して、公的支援が届きにくい障がい福祉施設などを中心に支援活動を行っています。特に新型コロナウイルス感染拡大が続いた昨年は、感染防止に最大限配慮しながら支援に取り組んできました。誰ひとり取り残さないことを目指し、私たちは被災者支援活動にこれからも取り組んでまいります。

 

堀尾 麗華HORIO Reika東京事務局

在ボツワナ日本国大使館、ユニセフネパール事務所で勤務後、2020年11月にAARに入職。英国の大学院で障がいと開発の修士号取得。タジキスタンでの駐在員を経て、東京事務局でミャンマー事業や国内災害支援に携わる

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