活動レポート Report

「トルコ語教室、楽しいよ」子どもたちの学習をサポート:シリア難民支援

2023年6月27日

AAR Japan[難民を助ける会]は、トルコ南東部シャンルウルファ県に身を寄せるシリア難民の子どもたちのトルコ語学習を支援しています。新型コロナウイルス感染の影響で2020年は厳しい行動制限が敷かれ、休校やオンライン授業を経て2021年から段階的に学校が再開しましたが、多くのシリア難民の子どもたちが取り残されていました。AARトルコ事務所のモアタズ・ファラーが活動の様子を報告します。

二人がけの長机が6つほど並び、少年少女が着席している。机にはテキストがあり、一人の女の子が発言するために起立している。

AARが支援するトルコ語教室で笑顔を見せるシリア難民の子どもたち=トルコ南東部シャンルウルファ県

トルコ語の教材を音読する子どもたちの元気な声が響き、講師の問い掛けに立ち上がって手を挙げる女の子もいます。AARが支援するトルコ語教室ではこの日、38 人がレベルに応じて 2つのグループに分かれて授業を受けていました。指導にあたるのは、シリアの人々が使うアラビア語と地元トルコ語を7年以上教えたことがある経験豊富な講師5人です。

子どもたちはとても意欲的で、「授業が楽しくて一生懸命勉強したいっていう気持ちになる」「トルコ語の単語をどんどん覚えてるよ」。ここでの学習によって周囲とのコミュニケーションも改善されており、9 歳の女の子は「お母さんと食料品店に行った時、店のおじさんとトルコ語で話して買い物を手伝ったんだ。お母さんは『お前は私の誇りだよ』って、とても喜んでくれたよ」と話します。トルコ語能力の向上は実生活に役立つだけでなく、自身や家族を心理的に支える役割も果たしています。

授業風景。教室前方にプロジェクターがあり、教材が投影されている。子どもたち10人ほどが元気よく挙手している。

講師の問いかけに元気よく手を挙げて答えるトルコ語教室の子どもたち

実はこの間、コロナ感染の影響を受けて子どもたちのトルコ語学習は危機的状況にありました。「収入が途絶えて家計が悪化し、子どもの教育にお金をかけられない」「オンライン授業を受けるための機器を揃えられない」――。トルコで暮らすシリア難民の多くの子どもたちはこの間、授業に参加できずにいたのです。これは地元トルコの子どもたちも同様で、シャンルウルファ県では継続的にオンライン授業に参加できていたトルコ人とシリア人の子どもは、他地域よりも低い30%程度に留まっていました。

対面式授業が徐々に再開してからも、長期にわたって学習の機会が失われたシリア難民の子どもたちは、トルコ語の理解度が急速に低下しました。「授業についていけるだけの語学力がない」「家庭の事情で学用品を買えない」などの理由で、通学を諦めてしまった子どもたちも少なくありません。

講師からの問いかけに、元気よく手を挙げて語学講座にのぞむ子どもたち

子どもたちひとり一人に丁寧に指導する講師

そこでAARは今年4月、子どもたちが通学を再開・継続できるように、トルコ語教室や学用品提供などの支援プログラムを開始しました。教室の運営やバス送迎時などはAARの現地協力団体ウルケニン・グッレリ(Ulkenin Gulleri)が担います。担当者は「帰還の見通しが立たない中、シリア難民にとってトルコ語の能力は生活していくうえで欠かせません。この就学支援を通じて子どもたちが未来に希望を持てるように支えていきたい」と話します。

2011年から続くシリア内戦を逃れて隣国トルコで暮らす難民は約360万人に上ります。AARはシリア難民の人々、とりわけ子どもたちのために支援を続けています。引き続き、AARのシリア難民支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。

*この活動は生活協同組合パルシステム東京からのご寄付を通じて実施しています。

モアタズ ファラーMoataz Farahトルコ事務所

トルコ事務所パートナーシップ・マネージャー。シリア出身。2012年にトルコに避難、複数の人道支援NGOを経て、2016年にAAR入職。

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