活動レポート Report

パキスタンからの帰還民に食料バウチャー配付:アフガニスタン

2024年11月18日

パキスタン政府が2023年10月に発表した不法滞在者の送還計画によって、同国に避難していた多くのアフガニスタン難民が祖国への帰還を余儀なくされています。AAR Japan[難民を助ける会]はパキスタンからの帰還民に対して、地雷・不発弾対策に加え、食料品を購入するためのバウチャー(引換券)を配付する支援を行っています。現地からの報告です。

男性が布を頭からかぶった女性にバウチャーを配っている

一人ひとり確認しながらバウチャーを配付するAAR現地職員=アフガニスタン東部ナンガハール県で2024年7月

アフガニスタンでは40年にわたる紛争や政情不安で多くの人々が国外に逃れ、隣国パキスタンには100万人を超えるアフガニスタン難民が滞在しています。しかし、パキスタン政府の送還計画によって、多くのアフガニスタン難民が食料不足や経済危機に苦しむ祖国に帰還せざるを得なくなっています。

布を頭からかぶった女性と男性が座りながら話している

生活状況についてカミナさん(左)に話を聞くAAR現地職員=ナンガハール県で2024年10月

「パキスタンの警官が突然、私たちの家にやって来て拘束され、食料や水もろくに与えられないまま数カ月間拘留されました。釈放後もまた警察が来て拷問されるのではないかと恐ろしくて、安心して眠ることもできませんでした」。パキスタンから帰還したカミナさん(45歳)は、摘発された時の様子を振り返ります。

カミナさんはタリバンが再び実権を握った2021年、前政権で働いていた息子と二人でパキスタンに避難しました。滞在許可がなかったため摘発を恐れて外出できず、働くこともできないまま、難民キャンプで生活していました。警察に拘束された後、アフガニスタンへの帰還を決意し、警察の嫌がらせを受けながらもトールハム国境を越えて、将来の見通しが立たないまま故郷に戻ってきました。

「私たちは今、親戚の家に身を寄せています。息子は重労働の作業員として働いていますが、賃金はとても安く、仕事がない時もあるので、生活に最低限必要なものさえ手に入れられません」とカミナさんは嘆きます。

黒い布を頭からかぶった女性と男性が座りながら話している

アイシャさん(左)に話を聞くAAR現地職員=ナンガハール県で2024年10月

3人の子どもの母親であるアイシャさん(24歳)も、パキスタン警察に追われて故郷へ戻ってきました。「夫は滞在許可がないことを理由にパキスタンで拘留されたままです。私たちは従兄弟の家に身を寄せています。パキスタンでは夫が野菜を売って収入を得て、暮らし向きは悪くありませんでした。でも、強制帰還が発表されて、パキスタン人は私たちの家電製品を半値で買い取り、ブルドーザーで住まいを壊してしまいました。それからというもの、私たちの生活は困難と苦しみの連続です」。

好きな食品を選べるバウチャー

パキスタンからアフガニスタンに帰国した人々は、住む家も収入もなく、極めて困難な状況にあります。特に、子どもや女性だけの世帯、高齢者、障がい者など、より弱い立場に置かれた人々は、経済的にも精神的にも大きな苦しみを抱えています。

食料品が入った袋を受け取る人々

バウチャーを利用して1カ月分の食料品を受け取る人々=ナンガハール県で2024年7月

AARは2024年7月、こうした弱い立場にある世帯600人を対象に、食料品を購入できるバウチャー(300ドル相当)を配付しました。バウチャーは3枚つづりで3カ月に分けて使え、小麦やコメ、食用油、豆のほか、各世帯が必要とするものを提携した食料品店で購入することができます。

AARから支援を受け取ったカミナさんは「AARが食料を支援してくれたおかげで、経済的な厳しさはある程度緩和されました。食料品の質も良く、AARと日本の皆さまからの支援に心より感謝しています」とほっとしたような表情を見せてくれました。そして「日本の支援者の皆さんに伝えたいのは、私たちがこの危機を脱するまでどうか支援を続けてください、ということです」と続けました。

アフガニスタンでは、国民の半数以上にあたる2,370万人が食料や住居など、最低限の生活を送るための人道的な支援を必要とする深刻な状況にあります。AARはバウチャー配付に加え、帰還民への生活用品の提供、地雷対策に引き続き取り組んでまいります。AARのアフガニスタン人道支援へのご協力をよろしくお願い申し上げます。

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