AAR Japan[難民を助ける会]はトルコ国内の各地で、シリア難民などの脆弱な人々を支える小規模な現地NGOを対象に、その活動基盤を強化する活動を行っています。こうしたNGOはCBO(Community Based Organization:コミュニティに基づく団体)と呼ばれ、AARは技術的な協力や、総務部門の研修などを通じた組織運営の強化に取り組んでいます。

AARが支援するCBOによる、児童労働から子どもを守る活動=アダナ県で2025年6月
住民が真っ先に相談できる組織
AARは、シャンウルファ県やガジアンテプ県などトルコ各地を拠点に活動する13団体を2021年から支援してきました。こうした団体が支援対象とするのは、厳しい生活を強いられているシリア難民や家庭内暴力を受けた女性、児童労働に従事させられている子どもなど多岐にわたります。規模は小さいながらも地域に深く根ざし、非常時や行政の支援が届きにくい場面でも、住民が真っ先に頼ることのできる心強い存在です。

性的搾取・虐待からの保護(PSEA:Protection from Sexual Exploitation and Abuse)の研修を受けるCBOの職員=シャンルウルファ県で2023年3月
技術面や運営面で「伴走支援」
シリア難民女性の家庭内暴力対策に取り組むCBOへは、技術面での支援を行いました。一人ひとりの状況に応じた支援を行うために、ケースワーク経験が豊富なAARスタッフが毎週会議に参加するなど、継続的なサポートを行いました。難民女性の場合、家族構成や在留資格の有無、種類によって必要な支援が異なり、不用意に行政サービスを照会すると、強制送還や子どもとの分離といったリスクもあります。AARスタッフは、実際のケースをCBOとともに検討し、判断のポイントを共有することで、CBO自身が自ら適切な判断を下せるよう経験を積み重ねていきました。
組織運営面では、研修を通じて経理ガイドラインなどさまざまな規定の策定や運用を支援しました。CBOは、市民ボランティア団体が発展したものが多く、文書管理や経理、人事など総務面での課題を抱えてるケースが多くあります。組織基盤がしっかり整えば、透明性や持続性も高まり、国連機関や国際NGOと連携して資金調達をすることも可能になってきます。
こうした支援は、AARの各分野の専門性をもつ職員が半年ほどの期間をかけて継続的に行い、AARではこの取り組みを「伴走支援」と呼んでいます。
伴走支援の成果の一例として、個人のボランティアネットワークから発展した「マルディン女性協会(MOKID)」が挙げられます。MOKIDは、トルコ人女性の生計支援などを行ってきた団体です。AARの支援を受け、事業計画書や報告書の作成能力を高め、一般寄付や企業、国際機関からの助成金など、さまざまな資金調達に挑戦し始めました。
2023年2月のトルコ南東部地震の際にはまとまった資金獲得に成功し、被災者に温かい食事を届けることができました。さらに、シリア難民女性に就労機会を提供し、地元女性との交流促進も目的としたレストラン「MOKID Kitchen」をマルディン市内に開店。郷土料理が好評で、2号店もオープンするなど順調に発展しています。最近は企業からの寄付を得て、困窮している大学生に無料で料理の提供も始めました。

マルディン女性協会がオープンした、難民女性が働くレストラン
また、アダナ県の児童労働監視・防止協会(CIOD)は、農業地帯のテントに住み込みで働く、難民や貧困層の子どもを支援しています。AARは、子どもや家族の状況を把握するための体系的な評価手法の導入や、支援物資を調達する際のガイドラインの策定などをサポートしました。
児童労働は、子どもしか稼ぎ手がおらず生きるために働かざるを得なかったり、在留資格がなく学校に行けなかったりするなど、根本的な解決が難しいケースも多くあります。AARは、CIODが一人ひとりの子どもたちの状況に合わせた就学支援や生活支援を継続できるよう、その活動を後方から支えています。

職員採用など人事をテーマにした研修=カイセリ県で2024年5月
より多くの人々に支援を届けるために
AARがこれまでに支援したCBOの中には、規模を拡大して国内外で活動するようになった団体や、自ら他のCBOを指導する立場へと成長した団体もあります。伴走支援は、AARの赤いポロシャツを着た職員が支援物資を手渡すような、いわゆる「わかりやすい」国際協力ではありません。しかし、各地のCBOの活動を支えることで、間接的により多くの人々に支援を届けることができます。また、AAR自身も、児童労働の課題など、現場のCBOから多くのことを学び、能力を高めることができています。トルコに限らず、今後もCBOの伴走支援に取り組んでいきたいと考えています。AARの活動にご理解とご協力くださいますよう、お願い申し上げます。
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ナス・チャイトルコ事務所
アカウンタビリティ・コンプライアンス・マネージャー。心理学の学士号、心理カウンセリングの修士号を取得。トルコで複数のNGOに勤務し、心理社会的支援、保護分野の事業内容の立案と実施を担当し、AARではCBO支援を担当。

宮地 佳那子トルコ事務所駐在員
女性の健康と権利の推進に取り組むNGOでの勤務、夜間大学院生を経て、2019年にAAR入職。ロヒンギャ難民支援に3年半従事した後、現職。



