活動レポート Report

子どもの学習をサポート:カンボジア国内避難民支援

2026年7月22日

2025年12月に激化した 隣国タイとの軍事衝突により、カンボジア国境地域の多くの住民が避難を余儀なくされました。半年以上が経った今も大勢の人々が避難生活を続ける西部ポーサット州の避難所で、AAR Japan[難民を助ける会]は子どもたちへの学習支援を行っています。カンボジア・プノンペン事務所の山本啓太が報告します。

仮設住宅の様子

ビニールハウスを利用した仮設住宅=ポーサット州の避難所で2026年6月11日


支援を実施しているヴェアル・ヴェン郡

終わりの見えない避難生活

軍事衝突があったポーサット州の国境から約50km、同州ヴェアル・ヴェン郡の高校にある避難所では、2026年6月16日時点で61世帯170人が、ビニールハウスを利用した仮設住宅で暮らしています。いつ自宅に帰れるのか、帰還のめどは今も立っていません。

約半数の避難民は仕事を失い、残りの人々は農業や建設、掃除などの日雇い仕事をして生計を立てています。「今回の軍事衝突で自宅が壊された」「住んでいた場所がタイ軍に占領された」「地雷や不発弾が残っている」。避難所で暮らす人々からはこうした悲痛な声が聞こえてきます。

避難生活が長引く中、中学生と高校生は避難所に隣接する学校へ通えるようになりました。一方で、小学校は避難所から約3km離れており、小学生は学校に通えていません。保護者は、通学中の交通事故や学校でのいじめ、慣れない環境になじめるかといった不安もあり、子どもを学校に送り出すことをためらっています。

先生と子ども

学習クラスで教えるセム・ヴァンディ先生=2026年6月11日

子どもたちが学び続けるために

AARは、子どもたちの教育の機会が損なわれることがないよう、2月から避難所内で2つの学習クラスの運営を支援しています。それまで無償で子どもたちに教えていた小学校教員3人に、郡教育事務所の要請を受けて日当を支給。毎日、就学前の子どもから小学6年生までの22人が、読み書きや計算などを学んでいます。セム・ヴァンディ先生は「学ぶ機会が守られていることで、子どもたちは避難生活での恐怖を少しずつ乗り越え、自信を取り戻しつつあります」と話します。

インタビューの様子

AAR職員のインタビューに答えるセム・ヴァンディ先生(右)=2026年6月11日

一方で、避難所での学習支援には限界もあります。教員が指導できるのは、自身が勤務する小学校での仕事を終えた午後3時以降。授業時間は1日約2時間に限られ、正規のカリキュラムに沿った授業はできません。

郡教育事務所と地元の小学校は、避難してきた児童の受け入れ準備を進めており、残された課題は、保護者の不安をやわらげることと、通学手段を確保することでした。そこでAARは関係者間の調整を進め、バイクや車での送迎など、家庭ごとに無理のない通学手段を整備しました。7月からは、避難所内での学習クラスを続けながら、子どもたちが少しずつ地元の学校になじめるよう、通学を後押ししています。

避難生活の中でも、子どもたちの学びが途切れることがないよう、AARは地域の教育関係者と協力しながら、国内避難民となった子どもたちへの教育支援に取り組んでいます。

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山本 啓太YAMAMOTO Keitaプノンペン事務所

2020年にAARへ入職。カンボジアで行政や学校と連携し、障がい児のインクルーシブ教育事業に従事。現在は主に教育・就労支援事業を担当

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